タイトル:ワーズ・ワースの放課後
著者:杉原智則
発行:電撃文庫
Ⅰ巻発行日:2003年9月25日
Ⅱ巻発売日:2003年10月25日
寝ているときに見る夢が、仮に非常に鮮明であったとき。
我々は現実と区別をつけることが果たしてできるだろうか―――
十数年前に読んで、気に入ってずっと保管していた本の1つ。
主人公が夢と現実を行ったり来たり。
次第に夢の中にいる時間が長くなっていき、果たしてどちらが"本当"か。
物語は主人公の一人称で描かれる。
"現実"では、受験を控えた中学3年生の"新藤誠"。
"夢"では世界の命運を握ることになった一国の王子"マコト"。
"言葉"、"無"、"時"、"命"、"疑問"、そして"始まりの人々"・・・
上下巻に分かれるが、なにせ概念が多く、たぶん多くの読者が途中で頭を混乱させることになる。
壮大な世界設定と"現実"と"夢"の複雑な人間関係。
最後まで読めば点と点が線になって、まるでミステリー小説を読んだかのような充実感を得られる。
好き嫌いがはっきり分かれそうな―――というか、理解できるかできないかで二分しそうな作品だ。
ⅡP82
"眠り病"についてよくいわれる言葉がある。
辛い現実から逃げるために人は夢の世界を選んだのだと。
ストレス発散に、確かに夢に逃げ込むことあるな~
疲れるけど、明晰夢はかなりストレス発散になる。
空飛ぶ夢とか、結構すっきりするよね。
ⅡP100
人は自分の生命にさえ意味を求めていた。
生きる、死ぬという現象に対しても意味を求めなければ、彼らは生命の営みを存続させることもできなくなってしまった。
本来は生きることの意味なんて考えなくてもいいんだけどね。
花は「なんで咲いたんだろう?」なんて思わないし、人間もそう気楽に割り切れればいいんだけど。
でも欲しいじゃんね、生まれてきた意味。
良くない癖とはわかりつつ、自分はあらゆることに意味を見出したがるから・・・
うっかり死ぬことに意味を見出さないようにとは気を付けて生きてる。
本書を気にっている理由はいろいろあるのだが、その1つに表現の豊かさや複雑さがある。
回りくどい間接的な表現、好きなんだよね。
ⅡP200
死者を弔う声のように、風はひかえめに、しかしどこか虚ろさをともなった饒舌さでもって、ぼくたちに告げていた。
本書のタイトルになっている『ワーズワース』。
特にどこにも明記されていなかったので、恐らくになるのだが、
イギリスの詩人ウィリアム・ワーズワースの詩の一つ
"Hunt half a day for a forgotten dream."が元になっていると思われる。
日本語訳にすると、『1日の半分は、忘れてた夢を捜しに行こう』(訳引用元)だ。
十数年ぶりに読んで、本書を大切に保管していた自分に「ナイス!」って言いたい。
良い作品はね、手元に置いておかないと。
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この時期はさすがに無理だけど、窓開けてるとよく眠れるよね~。
環境音がリラックス効果をもたらしてくれるのか。
【77+】ワーズ・ワースの放課後(Ⅰ・Ⅱ)(杉原智則)※追記 | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)
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