タイトル:毒になる親

著者:スーザン・フォワード

発行:毎日新聞社

発行日:1999年3月25日

 

 

近年、よく『毒親』というワードを聞くようになった。

このワードは、本書の著者であるスーザン・フォワードによって作られた言葉だ。

 

 

 

読み切るのに3ヶ月くらいかかった・・・

数ページ進む度に過去のいろいろが思い出されて、ちっとも進まない。

進まないうえに気分が悪くなる。

その程度に、自分が毒に侵されていたことを自覚した。

 

 

 

本書は、親から虐待等を受けながら育ってきた人々が、

その苦しみに立ち向かうためにどうすべきか、を記したものである。

カウンセラーである著者が、実際に受けた相談内容をもとにしているので、様々な『毒親』を知ることができる。

 

注意してほしいのは、本書は、実際に毒親に育てられた人向けに書かれている、ということだ。

幸せな家庭で過ごしてきた方たちは、読まなくていいと思う。

 

 

 

 

 

大人になって、生活を別にして、虐待等から解放されても、過去は消えない。

子どもはその過去を背負って生きなければならない。

 

 

実例として出てくる相談者は、皆、大人だ。

20代もいれば、50歳近くの相談者もいる。

悪の根源たる毒親が死んでも、この呪いは子どもを蝕み続ける。

 

 

虐待等とぼかして記すには、理由がある。

実際の毒親から与えられる『毒』は本当に様々だからだ。

肉体的な暴力、精神的な暴力、ネグレストなどは想像しやすいだろう。

それに加えて、環境要因ともいえる『毒』があるために、一概にどれ、とは言えないのだ。

 

例えば、アルコール中毒患者の親を持った子供の場合。

過干渉な親を持った場合。

親が非常にネガティブ性格だった場合。

両親が不仲な場合。

 

実際に『何』をされたわけでもないが、子どもは抑圧された環境の中で、のびのびと過ごすことができない。

空気を読んで、両親の仲を取り持ったり、

アル中の母親のために、幼い兄弟の面倒を見ながら家事を代わりにやったり。

 

 

簡潔に書いた上記を読んだ他人から見たら、「なんだそんなことか」と一蹴されてしまいそうだが、

本書の実例を見て尚そんなことが言えるとしたら、その人は間違いなく『毒親』になる素質を持っている。

改めてくれ。

 

 

 

本書は、実例をもとに、読者(つまり毒親に育てられてた人)に

「あなたは悪くない」とずっと言い続けてくれる。

読み進め理解を深めると、どういう心理状態になるかまで書かれているので、

自己セラピーには非常に良本だ。

最後のほうには、実際に毒親から解放されるための『儀式』について書かれている。

本書だけでも救われる人は、きっとかなりいると思う。

 

 

ただ、一部の『毒親』に育てられた人には、専門のカウンセラーに行けと都度書いてあるので、

本人の『毒の侵され具合』を見て、専門家にかかるのも必要だろう。

 

 

 

1点、気を付けてほしいことがある。

本書には、カウンセリングで症状が良くなったり、

毒親から解放されるための『儀式』について記載があるが、

失敗した例については記載がない・・・・・・・・・・・・・・・

一例だけ、途中でカウンセリングを放棄した相談者がいたが、軽く触れる程度、それだけだ。

 

本書を読み切って、自信をつけるのはよいが、安易にうかつな真似だけはしないように。

 

 

 

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