タイトル:ご冗談でしょう、ファインマンさん

著者:R.P.ファインマン

訳者:大貫晶子

発行:岩波現代文庫

発行日:2000年1月14日

 

 

 

 

本書は、物理学者、リチャード・P・ファインマンの回顧録である。

彼がどんな風に生き、どんなものに興味があり、世界をどう見ていたか。

そういう彼の人生の物語。

 

 

リチャード・P・ファインマン氏は、1965年にノーベル物理学賞を受賞した物理学者の一人。

ただ、本書はあくまで"リチャード・P・ファインマン"という人物の生き様を記したもので、

彼の物理学者としての一面だけを記したものではない。

だから、非常に面白く、深い"物語"だった。

 

 

子ども時代に壊れたラジオの修理をしたことから始まり、

sin・cos・tanの記号が気に入らないから自己流の記号を使い、

悪戯が好きで、寮のドアを外して隠したり、

イタリア語の発音を真似た意味の解らないことを話したり(自信満々にやると、なんでも様になる)

金庫の構造に興味を持ち、最終的に金庫破りの有名人になったり。

 

 

 

 

他にもいろいろ、

とにかく好奇心旺盛で、なんでもやってみる精神に加え、

人見知りもせず物怖じもしないから、豊かな人脈を形成し、

時には画家になり、時には音楽家になったりした。

 

読んでいて、彼は本当に多才だなと感心する一方、「いつ寝てるんだろう?」と心配になるほど様々なことに全力投球で、

結局のところ、努力に勝る天才はない、ということだろう。

 

 

 

上P44

これはいったいどうしたことなのだろう?

人は皆、物事を「本当に理解する」ことによって学ばず、たとえば丸暗記のようなほかの方法で学んでいるのだろうか?

これでは知識など、すぐ吹っとんでしまうこわれ物みたいなものではないか。

 

彼は本書のいたるところで上記のように憂いていた。

大学で授業を持っていたときも、教科書の選定をするときも、

とにかく『実生活でどのように役に立っているのか』『どう役立つのか』という根本的な部分に着目していた。

 

 

上P111

「道理で四年間も生物学をやってきた君たちに僕がさっさと追いつけるはずだよ。」

それこそネコの地図を十五分も見ればわかることを、いちいち暗記なんかしているから時間がいくらあっても足りないのだ。

 

重要なのは、暗記することや試験に合格することではない。

 

 

 

下P52

「「摩擦ルミネセンス」。摩擦ルミネセンスとは、結晶体がつぶされたときに発する光である。」

「さてここに科学があると思いますか?とんでもない。

これはその言葉の意味をまた別な言葉で言い換えただけのことです。

自然の性質についてはこれっぽっちも触れていません。

潰したときに光を発するのはどのような結晶体か?

なぜ光を発するのか?

この箇所を読んだ学生は、家に帰ってこれを実際にやってみるでしょうか?

できるわけがないでしょう。」

「だがもし「暗い所で砂糖のかたまりをペンチで潰してみれば、青い光が見えるはずだ。

それ以外の結晶体でも、このように光を発するものがあるが、なぜそれが起こるかは不明である。

この現象は摩擦ルミネセンスと呼ばれている」と書いてあれば、誰でも家に帰って試してみることができるはずです。

それこそ初めて自然をじかに経験することができるというものです。」

 

 

下P326解説

ダイソンは、ファインマンについてこう書いている。

(省略)

「彼の特異な天分は、頭の中の問題をすっかり解ききるまで休みなく考えつづける能力にあった。

彼の直観の力は他の誰のものよりも強く、長く持続した。

それが彼を偉大にしたのだと思う。」

 

 

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原子核の発見から、ちょうど120年経つ。

「まだ」なのか「もう」なのか。

 

 

【69+】ご冗談でしょう、ファインマンさん(上・下)(R.P.ファインマン)※追記 | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)