タイトル:カッコウはコンピュータに卵を産む(上・下)
著者:クリフォード・ストール
訳者:池央耿
発行:草思社文庫
発行日:2017年12月8日
今やPCやインターネットがないと生活もままならない現代人。
そして、本書をまだ手に取っていないITエンジニア。
全ての人が、手に取り、読んで、考えてほしい。
あなたのパソコンは、安全ですか???
インターネットの黎明期たる1986年の、カリフォルニア・バークレー。
著者クリフォード・ストールは、天文学の研究のかたわら研究所のシステム管理者を務める。
配属早々の仕事は、コンピュータの使用時間と使用料の不一致で生じた、75セントのズレの原因究明だった。
―――まさか、それがハッカーとの闘いの幕開けになるとは思いもよらなかった。
本書は、著者クリフォード・ストールの実体験を記したものであり、一切の脚色を加えていないという。
上下巻に分かれ、まるで映画でも見ているような感じであった。
ノンフィクション物で、自叙伝的文書かと思うかもしれないが、これは下手なミステリー小説よりはるかに面白い。
著者自身もユーモアに溢れ、小説家と名乗っても遜色ないだろう。
素直に、これはいい買い物をした、って思った作品だった。
あらすじは冒頭の通りだが、料金表のたった75セントのズレからハッカーの足跡をたどり、行動を監視し、包囲網を狭め、どこかにいるハッカーを探し出す。
逃げられないように、監視されていることを気取られないように、慎重に。
最初は近所の学生が悪戯しているのだろうと思っていたが、どうやら随分遠くから接続してきているらしい。
FBIやCIAなどとも連携を取り、いよいよ事は大事へと変貌していく。
下巻P84
ハッカーは無邪気に情報をあさっているわけではない。
(省略)
ハッカーは他人のオペレーティング・システムを妨害しようとどうしようとおかまいなしである。
ただ、後々またもぐりこめる壁の穴を見つけたいだけだ。
それが人の命を奪うかもしれないことを、彼は知っているのだろうか?
世のハッカー(今更だが、本記事での『ハッカー』は『クラッカー』のことを指す)の中には、
「お宅の防犯、甘いですよ。ちゃんと鍵かけたほうがいいですよ~」などと、
不法侵入しておきながら、親切心で戸締りが甘いことを教えてやった、という得意げな顔をする小悪党が存在する。
『データを破壊しないから侵入していい』
『悪用しないから企業の秘密を覗いてもいい』
『自分たちは親切に教えてやっているんだ』
と、どうやら本気で思っていらっしゃるようだ。
何を言っているんだ。
鍵が開いてても勝手に他人の家に入っていい理由にはならないだろう!?
そんなわけで、新米ネットワークエンジニアとしては、お客様たる企業さんに、悪い輩に侵入されないように強固な扉と鍵の設置を勧め、
こちらも精一杯、侵入されにくいネットワーク構成を提案し、機器を設定する―――
ということを今やっていたりします。
転職して約半年。
未だにわからないことだらけですわ・・・
本当に面白くて、ネタバレは避けたかったのであまり感想書けなかったけれど、ミステリー好きの人には是非手に取って読んでいただきたい作品だ。
本書の内容にマッチした素敵な画像は下記からお借りしました!
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機器の型番やモデルによってコマンドが微妙に違ってて、
「なんでだよ!覚えにくいわ!!」って思ってたけど、意味あったんだね・・・
勉強になったわ・・・