タイトル:蜜蜂と遠雷

著者:恩田陸

発行:幻冬舎

発行日:2016年9月20日

 

 

(↑リンクは文庫版。下記のページ数はハードカバーのものです。紛らわしくてすみません)

 

読み切ったあとに、これほど拍手をしたくなる物語があっただろうか。

さながら、長い長い演奏を聴き終わったかのような、そんな充実感である。

 

第156回直木三十五賞。第14回本屋大賞。

映画化もされ、2019年には続編が刊行された。

ご存知の方も多いだろう。

 

国際ピアノコンクールを舞台にした、若きピアニストたちの青春ストーリーである。

本書の見どころは、何といっても『表現力』!

色彩、明暗、重量感、温度、湿度、匂い。

文字で音を表現するのに、ありとあらゆる感覚を総動員させる。

音楽・クラシックに詳しくなくても楽しめるよう、感動できるように、様々な方向から表現されている。

誰もが体験したことのある『記憶』を、引っ張り出して感動させる。

この物語は一種の魔法だ。

特に本作の中に登場するいくつもの曲。その曲の表現の仕方は鮮やかで色彩豊か。

本当にこの本から暖かさや、湿度、風を感じるんだ。

 

P58

「(省略)『何言ってるの。鳥は楽譜なんか読めない。でも決して歌うことを止めないわ』(省略)」

『日曜はダメよ』という1960年の映画、そのワンシーンの話をしている場面。

 

P391

『僕はピアノ好きだよ』

『どのくらい?』

今度は亜夜が聞く。

『そうだなあ』

風間塵は、ちらりと宙を見上げた。

『世界にたった一人しかいなくても、野原にピアノが転がっていたら、いつまでも弾き続けていたいくらい好きだなあ』

 

何人もの登場人物の要所、要所にスッポトライトが当たって、場面が切り替わりながらストーリーは進んでいく。

それぞれの過去、想い、未来への不安と希望。他者への羨望、感謝。

 

名場面は多い。

けれども、その名場面のワンシーンがとてつもなく長い。

少なくとも、ここに書き出せないくらいに。

ああ、ぜひ多くの人に読んで『体験』してもらいたい。

この長い音楽を。

 

推薦状

皆さんに、カザマ・ジンをお贈りする。

文字通り、彼は『ギフト』である。

(省略)

彼を本物の『ギフト』にするか、それとも『災厄』にしてしまうのかは、

皆さん、いや、

我々にかかっている。

ユウジ・フォン=ホフマン

 

 

この物語を読むと、ピアノを弾きたくなるんだよね。

実は本書を読むのはこれで2回目。

1回目は去年の春くらいだったと思う。

一人暮らしの手狭な1Kに、電子ピアノを購入しちゃったんだよね、我慢できなくて(笑)

 

 

 

 

コンパクトなサイズを選んだけど、やっぱりなかなかに場所をとるんだよなあ。

ちなみに、上記のCASIOの電子ピアノ、高音が好みで悩みぬいて買ったんだけど、

機能多すぎて、しかも操作が複雑で説明書ないと使いこなせない。

覚えきれないよ、こんな複雑なの・・・

まぁ、弾くだけだしいいんだけどね・・・

 

脱線した。

『蜜蜂と遠雷』

本当にいい作品だ!

続編の祝祭と予感も読むぞ!!

 

 

 

【37+】蜜蜂と遠雷(恩田陸)※追記 | 秋風の読書ブログ (ameblo.jp)