Mary J. Blige『My Life』② | すねーくおるふぇのくの あくまでおっさんの独り言

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80年代をこよなく愛するオッサンの独り言。新しい話題にはついていけません。

前回の①を書いた時にアメリカ在住ブロ友のJMさんが教えてくれたのですが、

アマゾン・プライムで正にこのアルバムについてのドキュメンタリー

『Mary J. Blige's My Life』というのが観れるということでしたので、

①を書いた後に観てみました。

これは…途中で観なければ良かった…

これを観た後ならこんなブログ書けません。

書いた後ならもう後の祭りで済みますからね。

でも間に観たのはまずかった。

だって、こんなに本当に彼女の“My Life”について「語られた」アルバムだとは思っていなかったもので。

これはとても詞的な、私的なアルバムでした。

やれ誰がプロデュース、ソングライトしただの、

やれ誰の何て曲をサンプリングしただの、

そんな上っ面だけを書いていた自分が恥ずかしい…

しかも、クエスチョンマーク付きとは言え、

『「My Life」って曲はLove Song?』なんて書いてしまった。

何か意味深そうだなーとは思ったものの真の意味なんてこれっぽちも分かっていなかった。

なので、この②も書こうか書くまいか凄く迷ったんですが、

宣言した手前もあり、敢えて観なかったテイで続きを書くことにしました。

でないと前半部分が何だって話になるし、

というか何も書けなくなってしまう。

一応最後に感想と言うかそういうのは書こうかなと思います。

と言う訳で①と同じスタイルでまずは最後の曲まで書いていきます。

 

「I Never Wanna Live Without You」

 

 

プロデュースはハーブ・ミドルトン、チャッキー・トンプソン&ショーン“パフィ”コムズ。

ソングライトはメアリー、ビッグ・バブ、フェイス・エヴァンス、チャッキー、パフィ&ハーブ。

「My Life」から続くスローパートが凄く心地良い。

これも名曲です。

 

そしてこれは中盤のハイライト。

「I'm Goin' Down」

 

 

ローズ・ロイスというグループのカバー。

原曲は「Car Wash」というコメディ映画のサントラに収録。

映画は当然知りませんが、どっかで偶然このサントラを見っけて、

かつては所有。今は…

 

Rose Royce「I'm Goin Down」

 

 

カバーなんでそのままといえばそのままなんだけど、

何故かメアリーバージョンの方が古く黒く聴こえると思うのはワシだけ?

今更ですが、メアリーの声って、

所謂それまでの歌ウマソウルシンガーみたいに綺麗で大きな声で、

っていうのとはちょっと違う。

歌は上手いけど、ハスキーというか、ザラついた感じというか、

こういう昔のソウル歌わせるとピタッとはまる声というか、

そんな感じ。耳から離れない。凄味がある。

 

因みにメアリー版プロデュースはチャッキー&パフィに加え、

Coプロデュース表記で“プリンス”チャールズ・アレクサンダー&マーク・“レッド”レッドフォード?

レッドさんは知りません。

チャールズはちょいちょい名前見たと思うけど…どこで見たか記憶にない。

 

 

「Be With You」

 

 

プロデュースはチャッキー&パフィ。

ソングライトは上記+メアリー。

アルバムの中では割と地味な存在かな。

あんまり印象無かったな。

 

「Mary's Joint」

 

 

これも前曲と同じ顔触れ。

なんだけど、このバックのビートって「Real Love」のテンポ落とした感じに聴こえる。

詳細は不明。

 

「Don't Go」

 

 

プロデュースはチャッキー&パフィ。

ソングライトは2人+メアリー、ビッグ・バブ、フェイス。

ビッグ・バブ、フェイスはバック・ボーカルでも参加。

で、これのサンプル素材がなんとGuy!

いきなり時代新しくない?どうしちゃったの?

Guyの1st.からではあるけど、NJS色薄めのミディアム・ナンバー。

Guy「Goodbye Love」

 

 

アーロンの伸びやかなボーカルが印象的☆

 

「I Love You」

 

 

プロデュースはチャッキー&パフィ。

ソングライトは2人+メアリー。

あれ?これサンプル・クレジット無い…

どう聴いてもアイザック・ヘイズ。

以前ブログに書いた(確か)BMRの付録CD「Respect Staxelf」に収録されてるもん。

Isaac Hayes「Ike's Mood」

 

 

1分40秒過ぎのメロディがずっとループされてます。

アイザック・ヘイズさんも良くは存じ上げません。

「Shaft」という映画のサントラがワシが生まれる前に全米1位になってるようです。

 

「No One Else」

 

 

これもあんまり印象無いなーなんて思ったら、

JodeciのMr.ダルヴィンのプロデュースじゃあないですか!

ソングライトはダルヴィンとK-Ci。

そう言われるとそれっぽい。

まずはクレジットのあるサンプリングはアル・グリーン。

Al Green「Free At Last」

 

 

アルさん。これまた名前は知ってるし、どっかで何か聴いたことはあるけど、

進んで聴いたことはない方。

 

で、話をメアリーに戻すと、曲の最後の方で何か聴いたことあるフレーズが。

最初Jodeciだっけかなーって思ってたら、

違う!ニューエディションの「Hit Me Off」で聴いたフレーズじゃんって。

で、ニューエディションの方が新しいから、じゃあ同じサンプルか?って思ってクレジット見ると、

Black Moonの「I Got Cha Opin」だって。

聴いてみたら、あーなんとなく…

そんなグループもあったっけ?てなレベルです。

一応載せる?

 

 

本当にこれ使ってるかどうかは分かりません。

スリック・リックの曲サンプリングしてるっていうのも見たけど、

よく分からなかったんで省略。

 

そして最後の曲

「Be Happy」

 

 

プロデュースはパフィとこの前ちょっと触れたトラックマスターズのPoke。

ジーン・クラウデ・“Poke”・オリバーである。

この曲好き。

このリズム、Maryの歌声と歌詞。全部最高。

「幸せ (Happy) を求めている人みんなのためにこの曲を作ったの。」

というMary。ワシも聴いていいですか?

同時に「自分への癒しの曲」でもある。

 

この曲はこれをサンプリング。再びカーティスです。

Curtis Mayfield 「You're So Good To Me」

 

 

少しテンポを速めて使用してますね。

やっぱり良い曲というのは時代を越えて惹き付けられるんですね。

 

 

ということで、サンプリングされた曲の紹介を中心にお送りしました。

バリー・ホワイト、カーティス・メイフィールド、ロイ・エアーズ、ローズ・ロイス、アイザック・ヘイズ、アル・グリーン等々、

70年代辺りの旧き良きソウルをリスペクトし、

新しく90年代の音に蘇らせたパフィ始め制作陣の手腕はお見事。

実際はクレジット無しでこれ以上にサンプリングはされてるみたいですけど(1曲につき3曲ぐらい使ってるとか)、

キリがないので大ネタ部分に絞って書きました。

 

 

音的にはそんな感じですし、事実歌詞の意味やら彼女の背景やらを知らずに聴いていましたので、

ただただいいメロディが並んだ素晴らしいアルバム…というのがこれまでの印象でした。

ここで冒頭に書いたドキュメンタリーを観て分かったことなどを少し書きます。

 

 

Maryはニューヨークのプロジェクト(低所得者団地)で育ち、

つまりスラム街で幼少期からデビューまで生活していました。

両親は4歳の頃に離婚して母親と姉(ラトーニャ)弟と暮らしていました。

ここでは夢など叶うはずもない、夢を語ってはいけない、語っても周囲の人間に潰される、

そんな所なんだそうです。

 

そして、Maryは歌が大好きで、ヘアブラシをマイク代わりによく60~70年代のソウルを歌っていたそうだけど、

歌手になりたいなんて当然誰にも話さなかった。話せなかった。

たまたま彼女の歌ったテープが、当時のUptown Records社長のアンドレ・ハレルの耳に入ったそう。

アンドレはすぐさまBMWで駆け付けMaryと契約したそうです。

そしてアルバム『What's The 411?」をリリース。

当時まだヒップホップのビートにR&Bをのせて歌うスタイルは少なく、

彼女は“ヒップホップ・ソウルの女王”となり、あっという間に人気者に。

そしてJodeciのK-Ciとも付き合いはじめた。

正に地獄の生活から天国に。始めはそう思ったのでしょう。

 

しかし、急に変わってしまった生活。

K-Ciとも徐々にギクシャクし暴行もあったとか。

周囲からも彼女の本質は理解されず、

結果、酒とコカインに溺れる日々に。

 

そんな頃に作られたのが『My Life』だったのです。

ですからここで歌われる歌詞は、当時の彼女の心情を表したもの、である様です。

とても特別なアルバムだったのだと思われます。

本当に彼女の魂(ソウル)の叫びだったのだと、

だから人々の胸に強く突き刺さったのだと、そう思います。

 

ドキュメンタリーには彼女自身はもちろん、

パフィ、チャッキー、ビッグ・バブ、ナズ、メソッドマン等も出演しインタビューを受けていました。

特に当時駆け出しのプロデューサーだったチャッキーと、

曲作りやコーラスで一緒にやったビッグ・バブとの関係性は緊密であった感じでした。

共に同じ様な境遇も経験していた様で、

パフィも辛い経験をした時期とも重なっていた様で、

そういった一体感があったからこそ素晴らしい作品に仕上げられたのかと思います。

こちらのドキュメンタリー『Mary J Blige's My Life』観れる方はぜひ観てみて下さい。

終始目頭熱くして見入っちゃいました。

 

それでは。