皆さん こんにちは! TC研究会 理学療法士の梅澤です。 本日もコラムに興味を持って頂き本当にありがとうございます。
今回この様な内容としたのは、 TC研究会のコンセプトの軸は “人の健康” ということではありますが、それを達成するために様々な職種の人が集まり 勉強会やディスカッションや研究 をともに行い、それらを共有し 追及していくことです。 そのため、私自身 理学療法士という職種であり、それについてしっかりと把握し それをTC研究会として活かしてもらう必要があると考えたため、再度 理学療法士というものを自分自身でも考え それらを皆さんに発信して共有して頂ければと思いました。
更に昨今は仕事などが多様化し、それぞれの職種の垣根もなくなっており、それにより良い点や悪い点もあると思いますので、それらも踏まえて少し“理学療法士” についてお話させて頂ければと思います。
まずは簡単に理学療法士の歴史について述べていこうと思います。リハビリテーションの歴史については、さかのぼると古代ギリシャではないかとされていますが、理学療法というものが発展したのは、第一次世界大戦時のアメリカであるとされ その後日本には大正の時代に伝わったとされています。
国家資格として日本初の理学療法士が誕生したのは 1966年(昭和41年)です。そう考えると歴史はまだまだかなり浅いと言えますかね 50年程度ですからね。 ちなみにその時に誕生した理学療法士の人数が183名でした。現在は、1年に約1万人程度増えており 有資格者は2020年時で18万人となっています。 この増加のしかたはすさまじいものがあり驚きます。 本当に社会に必要とされているのか心配になりますし、常に必要とされるように努力することが必要と考えます。
また、理学療法士は国家資格の中では名称独占資格であり、無資格で名称を名乗ると処罰されます。ただし、資格がなく理学療法士の仕事をすることには罰則規定がありません。ここが業務独占資格と名称独占資格との大きな違いとなっています。そして病院内などで仕事をする際は、必ず医師の指示のもと理学療法を行う必要があります。
それでは、仕事の内容はどの様なものなのかということですが、 堅苦しくなりますがまず定義としては以下のものとなります。
理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
「理学療法士及び作業療法士法」第2条には「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」
この様に定義されていますが、私なりにとっても簡潔的にまとめてしまうと
『その人の健康と幸福のために身体機能を通して良くするお手伝いをさせてもらう』
というようなことと考えます。 余計わかりづらくなっていたら申し訳ありません。
また、よく作業療法士との違いは何?とかそもそも患者さんはどっちがどっちだが、全くわからないということもあります。 そしてよく言われるのが “足”は理学療法士で “手”は作業療法士 です。 これに関してはかなり誤解があると思います。
作業療法士の定義としては これも私なりの簡潔的なものとしては上記の下線の部分が 作業(その人の生活動作) に変わる感じです。
『その人の健康と幸福のために作業を通して良くするお手伝いをさせてもらう』
これもわかりづらかったら申し訳ありません。
ともあれ “その人の健康と幸福のために” というとことは医療現場、介護現場 そして人の体や心に携わる職種の人は皆当てはまるのではないかと思います。 その手段・アプローチが変わるのではないかと思います
このアプローチの方法が近年 各職種で多様化してきたため問題が発生することもありますし、逆にレベルが向上しているのではないかと考えます。
いずれにしても その人の健康と幸福のため ということは変わらないと思いますので まずはその部分を大切に考えていくことは重要だと私自身は考えています。
そして当たり前にはなりますが 法律という共通認識のものがあるので、それに基づいて実施していく必要はありますよね。
ここでもう少し理学療法が目指すものについて述べますと、以下のようにも言われています。
理学療法の直接的な目的は運動機能の回復にありますが、日常生活動作(ADL)の改善を図り、最終的にはQOL(生活の質)の向上をめざします。病気、けが、高齢など何らかの原因で寝返る、起き上がる、座る、立ち上がる、歩くなどの基本動作が不自由になると、ひとりでトイレに行けなくなる、着替えができなくなる、食事が摂れなくなる、外出ができなくなるなどの不便が生じます。誰しもこれらの動作をひとの手を借りず、行いたいと思うことは自然なことであり、日常生活動作の改善はQOL向上の大切な要素になります。
これに関しても私の意見を述べますと、上記のようにその人の “基本動作” “日常生活動作” そして“QOL”が上がることで、その人が再び社会復帰し社会に貢献することで世の中のためになることができる。 この社会の良い循環のサイクルになるお手伝いを理学療法士が実施する責任があると考えます。
また、近年の理学療法(医学も含め)の発展の源となっているものが、EBM(科学に基づいた医療)であると考えます。 EBMという言葉が、医学文献上初めて登場したのは 1991 年のカナダです。 その後10年くらい遅れて日本にも浸透し、医療はガイドラインをもとに行われるようになりました。
私自身はこのシステムは クライアントにはとても有益だと考えておりますが、皆さんもご存知のように 人は皆同じではありません そのためこのガイドラインなどに必ず当てはまるはずもなく完全なものではなくあくまでも目安や基準だと考えます。
それを踏まえた理学療法(医療)が必要と考えます。
そして、時代とともに関わるクライアントや疾患が変化してきている事実があります。
このことは私自身もとても痛感しており、本当に対応することが大変です。
私の経験をもとにお話させて頂くと、約15年前の入職当初は 中枢疾患(脳卒中など)と整形疾患(骨折など)の方が殆どでしたが、年々みる疾患が増えていきそれとともにクライアントの状況も大きく変化してきました。ここでは、全てはお話しきれませんが、呼吸器疾患(肺炎など) 循環器疾患(狭心症や心筋梗塞など)のクライアントが増え人工呼吸器を装着する方も増加しました。 その後、がんや難病のクライアントも増えました。
そして介護保険下での仕事も増え 介護老人保健施設 や 訪問リハ や デイサービス での仕事もしましたし、認知症専門の病院でも理学療法を実施しました。 この経験の全ては同じ法人内であり、約13年でありますがすさまじい変化がありました。
その後は 中国での自費でのリハビリも経験しました。
それだけ理学療法のニードが変化し 多様化してきたと感じます。
今後としては、この多様化はまだ続くと思いますが、2025年の高齢化の問題後は必要絶対数の問題などが出てくるとは思います。
ですが病院や介護関係の施設などにかかる人の数は減少した方がもちろん良い社会だと思いますので、それ以外の場所などで社会に貢献できるように日々努力していく必要が自分も含めた理学療法士には今後特に必要なのではないかと思います。
そして、もちろん2025年の問題がなくてもそう考えることが重要なのではないかと考えます。
本日もコラムにお付き合い頂き本当にありがとうございました。
コラム執筆者紹介
梅澤拓未(うめざわたくみ)先生

理学療法士として、急性期病院・認知症専門病院で13年勤務。
資格
理学療法士
呼吸療法認定士
認知症ケア専門士
介護支援専門員(ケアマネージャー)
福祉住環境コーディネーター2級
日本コアコンディショニング協会マスタートレーナー