皆さん、こんにちは! TC研究会 理学療法士の梅澤です。 本日もコラムに興味を持って頂きありがとうございます。
本日の内容としては、“骨粗鬆症性脊椎椎体骨折”について2回のコラムで、後半は“治療方法”などについてを中心にお話させて頂こうと思います。
前回もお話しましたが、この疾患については、私自身も今までに大変多くの患者さんをみさせて頂いています。 その中で感じていることは年々患者さんの数が増えているということです。尚 認知症などもこの疾患と同様な経過をたどっていると考えます。 これはまぎれもなく、高齢化社会がすすむことと比例しています。 私がこの仕事をはじめた15年前頃は、骨粗鬆症という言葉を一般の方はあまり知らなかったように思います。ここ10年くらいで完全に世間に浸透してきたという感じです。
但し、だいぶ前 実際には1950年前後に骨粗鬆症が病気として認識されその原因の主となるものがカルシウムであったりビタミンDということがわかってきたため、私が小さい頃も牛乳や魚は推奨され『骨が強くなるから、食べなさい!』と言われていたのをよく覚えています。
また、実際に骨粗鬆症に対する検査方法や薬が保険適応となり確立されてきたのは2000年前後からのようです。 これは1990年代からEBM(evidence based medicine:科学に基づいた医療)の概念が提唱され、ガイドラインなどが作成されていく過程で進歩してきたと考えられます。
脊椎椎体骨折の原因が骨粗鬆症であるため、前回は骨粗鬆症についてのお話もしました。簡単に復習すると、骨のリモデリング(再構築)と言って 通常は骨吸収(骨を壊す)作用と骨形成(骨をつくる)のバランスが整っているが、特に女性の方などはこのバランスが崩れ骨吸収に対して骨形成が間に合わなくなった時に骨粗鬆症が起きやすいということでした。
骨粗鬆症の診断は、若年成人(20~44歳)の骨量の平均値(YAM値)との比較によって行います。骨量がYAM値の70%未満であれば骨粗しょう症、70~80%であれば骨量減少と判断されます。骨量がYAM値の80%未満の人は注意が必要です。
また脆弱性骨折をしていれば、即 骨粗鬆症と診断されます。
この様な方にはすぐに薬での治療が開始され、数か月単位で検査をしてその回復度などを確認していきます。(各薬の効果などは骨粗鬆症のガイドラインなどを参照して頂ければ思います)
次に脊椎椎体骨折についてですが、診断方法としては画像が使用され 主にレントゲンとMRIが使用されます。 急性期(2週間以内)だと軽いものや初期の骨折はレントゲンではわからないことも多く、MRIなどで出血の確認などすることで診断されることもあります。
レントゲンでは2つの方法で、骨折の状態を判定しています。
ひとつが 定量的評価法(Quantitative Measurement:QM 法)で
図1 に示す測定を行い、C/A、C/P のいずれかが0.8 未満、またはA/P が0.75 未満の場合を椎体骨折と判定します。
椎体の高さが全体的に減少する場合(扁平椎)には、判定椎体の上位または下位のA、
C、P よりおのおのが20%以上減少している場合を椎体骨折とします。
もう一つが 半定量的評価法(Semiquantitative Method:SQ 法)で
図2 を参照としてグレード0 から3 までに分類し、グレード1 以上にあてはまる場合を椎体骨折と判定します。
治療方法はというと、保存療法と手術療法があり 保存療法では脊椎をしっかりと固定するコルセットの装着が必要で、手術療法では経皮的椎体形成術といって椎体に骨セメントを注入するもの と 脊椎椎体を金具で固定する脊椎インストゥルメンテーション手術があります。
治療方法の選択としては脊髄神経などに影響が出ている場合には手術療法でも脊椎インストゥルメンテーション手術が選択されるケースが多く、まずは体の中でも中枢神経で重要となる脊髄を守る方法が選択されます。 図3のように椎体にスクリューを挿入して固定します。その際は骨粗鬆症で骨がもろいためスクリューがずれたりする可能性があり特に術後など固定力が弱い時は注意が必要となります。
もうひとつの手術の経皮的椎体形成術は 図4 のように骨セメントを注入して椎体を安定させるものがあります。 この手術は開発初期のころは骨セメントを注入するのみでしたが、現在では骨セメントを注入する前にバルーン(風船のように膨らむ)で椎体内を膨らまし潰れた椎体をできるだけ元の形状に戻した状態にして骨セメントを注入する方法が施行されていることが多いです。 こうすることで変形してしまい、その上下などの骨に負担がかかってしまうことを緩和することが可能となってきました。 この手術は切開などする必要がなく経皮的に行えるため患者さんの負担は比較的少ないです。 但し、骨セメントが椎体から漏れたりすることがあり注意が必要となります。 また、痛みの軽減などには一定の効果は示されていることと遅発性に神経症状が出る可能性がある方には先立ってこの手術を施行する選択肢もあるのではないかと考えられます。
図4 皮下組織に局所麻酔をして針のような管を挿入し、右図のように骨セメントを注入します
そしてこれらの治療をしつつ行われていくのがリハビリとなります。
急性期では、まずはとにかく骨癒合することが重要なため、安定と安静を図りつつ 廃用の予防に努めます。
言葉上では、骨折部位を絶対に動かさずにほかの部分はできる限り動かしていくことです。
これは理屈はわかっていても非常に大変なことなので、患者さんは忍耐強く行っていくことを強いられます。
その際のリハビリはそれぞれの治療方法やその時の状態を考慮して行われますが、基本的には骨折した椎体を元に戻すわけではないため、いかにそのアライメントの状態でうまく体を動かせるようにして日常生活をよりよく過ごしてもらえるかが重要となります。
その中でも痛みが最も日常生活の妨げとなることが多いため、痛みの緩和を図ることとそのアライメントの状態での効率の良い体の使い方を獲得していくが必要となります。
おわかりかもしれませんが、この疾患に対しての特別なリハビリというのはなく、骨折した椎体の場所や椎体の部位(通常は椎体の前方部分になるかと思います)を考慮して、それに関係する筋や関節、そして動作分析を行い対応することが重要となります。
また、徒手的に困難であればハード面の考慮や必要であれば介護保険の利用なども考えることも重要になるかと思います。
今回は骨粗鬆症性脊椎椎体骨折についての治療方法などについて述べさせて頂きました。 少しでもこの情報が皆さんに関わるクライアントのお役に立てれば幸いです。
本日もコラムを読んで頂き本当にありがとうございました。
コラム執筆者紹介
梅澤拓未(うめざわたくみ)先生

理学療法士として、急性期病院・認知症専門病院で13年勤務。
資格
理学療法士
呼吸療法認定士
認知症ケア専門士
介護支援専門員(ケアマネージャー)
福祉住環境コーディネーター2級
日本コアコンディショニング協会マスタートレーナー




