こんにちは!
トータルコンディショニング研究会(以下、TC研究会)の奥川です。
好評の理学療法士&ボディーワーカーの宮井健太郎先生のコラム
系統発生になじむきっかけになればと書いていただいてる本コラムですが
「個体発生は系統発生を繰り返す」という言葉がありますが、ヒトの運動学習の過程を見ると驚くほどに
系統発生との共通点が多い事に気づくと思います。
人の運動に関わる全ての方に読んでいただきたいコラムです。
では、今回はいよいよご先祖様が背骨を獲得します!
◇◆
●カルシウムを貯め込む変わり者
約4億8000万年前、この頃すべての動物はまだ海中に存在していました。その中に海水中に多く含まれるカルシウムを体内に貯め込む変わり者が現れました。「骨」の誕生です。たまたま骨が体の周囲を覆い、甲羅や鱗のように外敵から身を守ることになったり、歯を持つものは捕食に優位に働くものが現れ、骨が役立つところにできた生物は生き残っていきました。
この骨が後々ミネラルの貯蔵庫として河川や陸地に進出するのに役立っていくことになります。
●背骨を持ったご先祖さま
ご先祖さまの中に脊索の周囲にカルシウムを貯め込み「背骨」を形成する変わり者が現れました。「硬骨魚類」です。背骨は筋肉の付着部として働き他の動物より素早く泳ぐことが可能となり、生存に有利に働きました。
他にも体を骨化させ生き伸びた生物がいます。骨を固い鎧のように全身にまとって防御を固める昆虫や貝の様な外骨格の動物です。守りは強いが成長に応じて大きくなれない、という短所があるため(大きくなるためには、脱皮を行わなければならない)比較的小型の生物に多いという特徴があります。
内骨格であったご先祖さまの子孫は大型化することも可能でした。後に両生類、爬虫類・哺乳類と進化し、結果的に恐竜や大型哺乳類から我々人類の誕生に至ることになります。
人においても外骨格の部位があります。それは頭蓋骨と鎖骨です。硬骨魚類が登場する以前にご先祖さまは甲冑魚(かっちゅうぎょ)と呼ばれる原始的な魚たちの一員でした。甲冑魚は現生の魚類と比較すると体表がやや骨化し、特に頭部は硬い骨でおおわれてその名の所以となっています。現在は絶滅しその姿をみることはできません。
頭蓋骨と鎖骨はその甲冑の名残と考えられています。脊椎などの内骨格の骨は軟骨が骨化してできる置換骨なのに対し、頭蓋骨と鎖骨は繊維性結合組織から骨化する、より原始的な膜骨(membrane bone 皮骨とも)です。
この頃のご先祖さまは頭を持ち、顎を持ち、ヒレがある立派な魚になっていました。
ヒトは「脊椎動物」の仲間です。
●魚の移動
魚は体を左右にくねりながら前進します。側屈の動きです。背骨を頭側から尾側の順にくねらせることで前進することができます。尾びれは体幹の一部として推進力を生み出しますが、胸びれ、腹びれなど他のヒレの推進力は乏しく、バランスを取る事に役立っています。体幹が動かないハコフグはヒレで泳ぎますがスピードは非常にゆっくりです。水中で生活する哺乳類イルカは側屈の動きでは無く上下(屈伸)に体をくねらせ泳ぎます。いわゆるドルフィンキックです。
●CPG ( central patan generator )
私が理学療法の学生時代、歩行中枢の一つであるCPG ( central patan generator )なるものが脊髄に存在し、歩行のリズミカルなパターンを生み出している、と教わりました。当時、一部の動物にしかなし得ない歩行という高度な動作の中枢が、より原始的であると考えられる脊髄にあることにとても違和感を覚えました。しかし、その謎が解ける日がきたのです。魚の泳ぎについて調べていると、頭部から尾部にかけ左右に体を揺らす動きはCPGによって作り出されているというのです。つまり移動の根幹は変わらず、魚時代に培ったパターンを利用して我々は歩いているのです。
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執筆者紹介
宮井健太郎(みやいけんたろう)
1977年生まれ
2001年 理学療法士資格取得
以後、老人総合病院、老人保健施設、老人ホーム、小児病院、スポーツ整形外科、一般整形外科にてリハビリテーションに関わる
2006年 ロルフィングプラクティショナー認定
2010年 フランクリンメソッド エデュケーター認定
2014年 ロルフィングムーブメントプラクティショナー認定
現在、東京 有楽町線・副都心線 小竹向原駅近く、東久留米市内にて、ロルフィングとボディーコンディショニングを行う
日本ロルフィング協会会員
