こんにちは

 

TC研究会の奥川です。

 

久しぶりの書籍レビューを書きたいと思います。

 

割りと古い本ですが

 

Lois Bly著 木本孝子、中村勇共訳【写真で見る乳児の運動発達~生後10日~12か月まで~】です。

 

 

 

この書籍はタイトル通りに乳児が産まれてから、12か月後に一人歩き出来るまでの過程を

 

詳細に記したものです。

 

本書は理学療法士と作業療法士の方が訳されたようですが

近年はアスレチックトレーナーの分野でも乳児の運動学習過程が見直されており

 

トップアスリートなどが、自身のコンディショニングに取り入れている事は専門家達の間では割りとよく知られた話です。

 

ハンマー投げの室伏選手などは有名ですよね。

乳児の寝返りを参考にしたエクササイズを行っているとのことで

それを、東スポが何かで「赤ちゃんプレイ」とか失礼な見出しで取り上げられていて

東スポは一時期私の周りのトレーナー達には大不評だったのを覚えています。

 

また、私が知っているのでは、某有名クライマーは世界大会優勝した年に「腹ばい」のエクササイズを

某大学でかなり実施したとの噂を聞きました。

 

乳児の「腹ばい」などは「両棲動物的反応」が強く出た動きなのでしょうが

私達のような大人の歩行の動きの中にも、未だにこのような反応を一部利用しているので

腹ばいをすると大人の歩行動作が改善するという先生もいらっしゃいます。

 

他にも、私自身の経験では、以前みていたクライミングの国体選手に「腹ばいの」エクササイズを実施してもらっていたのですが

エクササイズ後に感想を聞くと「クライミングの基本の重心移動に似ている」と言っていました。

*基本と言うのがポイントで、全く逆の身体の使い方もあるそうです、私が見ていた選手はそちらが苦手でした。

 

日常動作はもとより、スポーツの中の動作にも、乳児期の反射、反応、重心移動をベースにした動きは多いと言う事でしょう。

そんな事もあり、乳児の運動学習を学ぶ事は、大人のクライアントを見ている私達にも大変勉強になると思っています。

 

一例を挙げますと…

「翼状肩甲骨」のクライアントがいたとします。

肩甲骨が胸郭上で安定していない事が考えられます。

その為に上肢が力強い動きを出来ていないかもしれません。

同じく、肩甲骨が胸郭上で安定しない乳児が肩甲骨を安定させるまでの運動学習の過程を知る事

また、その時期での正常な動作、異常な動作、など知る事は

個人的には、クライアントの現状の評価やエクササイズの組み立てや大変参考になると思っております。

 

この書籍は乳児の発育発達過程での運動学習の各段階についてはもちろん

正常な反射、反応の出現時期や、反射、反応の消失時期

姿勢制御についてのバイオメカニクス的な事も詳しく書かれていますので

 

理学療法士、作業療法士、トレーナーの方にも良い参考書となると思います。

 

意外?なところでは「保育士さん」にもお勧めです。

私の知り合いに保育士さんがいるのですが、私が紹介して興味を持ち

すぐにamazonで購入し、読んだそうなのですが

 

「このような事は学校では細かく教えてもらえなかった事なので、勉強になった」

「乳児を見る際の目線が変わったので、仕事が前より楽しくなった」

 

と言ってました。

なので、保育士さんにもお勧めします。

 

意外でしたね^^;

学校で勉強されるのかと思っていました。

まぁ、確かに保育のプロですから、保育の勉強がメインですから

運動学習についてはそこまで知らなくても良いですかね

 

余談ですが

 

その保育士さんと話していて興味を持ったのは

 

実際の保育の現場では、アフォーダンスで有名な「視覚的断崖テスト」は教科書通りの結果にならない子が多いと言っていたのも

意外でした。

 

まぁ、それについては後に違う文献を読んで解決したのですが

教科書通りでは無い事や

まだまだ、人の運動学習については未知の事が多いな、と日々感じますね。

*この件については、また別の機会に書けると良いかなと思います。