HERO(26)
ノーアウト1,2塁のチャンスに、9番のピッチャーが送りバントで
ワンアウト2,3塁になった。
打順は1番に戻って、足が速い選手になる。
また、バントかと、守備陣は前進守備の陣形になりつつも長打を警戒する。
―カキーン―
ライト前ヒットで2者生還して、3対0になった。
その後は、両軍追加点が入らず3対0で白組の勝利に終わった。
祐輔はこれからの課題はバッティングを強化して、バント以外でも
攻撃に貢献できるようになりたいとつくづく思った。
藤代顧問がみんなを集めて今日の試合結果について話す。
「いいか、考える野球を心がけろ、その場その場の状況判断が勝負を
左右する。ピンチになった時こそ、ピッチャーに声を掛けて力になって
乗り切るように・・・・」
あと、個々の良い所と注意すべき点をまとめて話してこの日は終わった。
祐輔も家に帰って、みんなに話す。
「俺には、バッティングがみんなから遅れているように思えるんだ」
「そうだな、高校のピッチャーは中学生とは別格だからな」
父の言葉に
「そうね、バッティングセンターでも行って練習することもいいかもね」
母は気軽にそう言った。
「そうか、バッティングセンターがあるか?」
祐輔はうなづく。
「バッティングセンターで速いボールの練習して力をつけなさい」
母の言葉には可能性を見出す力強さが込められていた。
そばに居た美香が
「でも、お兄ちゃんの良い所を見込んで監督さんが選んだんじゃない」
「お、そうだな」
「それに磨きをかける事も大事になってくるわね」
そう付け加えた。
「今まで以上に祐輔の長所を伸ばし、短所も克服する事だな」
父からのアドバイスに勇気がわいた。
「みんな、ありがとう。 あせらずに着実に進歩していくよ」
祐輔はそう言って、家族みんなに感謝した。
それから毎日、近くのバッティングセンターに行って練習する。
もう、日も長くなって、夏が本番になろうとした7月の初旬の事だった。