HERO(35)
この日の試合は、星城高校の奇策により大海高校を圧倒するゲームをなった。
祐輔もこの試合で一回り大きく成長を遂げた。
祐輔はロッカーに向かう途中にマネジャーから
「これを、織原君に渡してほしいと言われて・・・」
マネジャーの手から紙切れらしきものを渡させた。
祐輔は最初なんだろうと思ったが、女の子っぽい字からとっさにあの女子高生の
ものだと思った。
それを受け取り、一人になる場所を見つけてその手紙を読んだ。
高鳴る息と共にその手紙を読む。
その手紙とは
「1回戦勝利おめでとう。 約束の日に行けなくて、ごめんなさい。
私は元気でいます。子供は産むことにしました、。だから、もう心配
しないで、野球に集中して下さい。」
そんな文面が書かれていた。
祐輔は、彼女が子供を産む決意が、幸せにつながるのだと思った。
それと同時に、やはり今日この球場のどこかにいたのだと確信した。
手紙を読み終えて、祐輔の淡い青春が終ったような気になった。
着替えを終えて、監督から今日の試合の反省と今後の事を話されて解散した。
祐輔は帰りのバスの中で、空を見上げていた。
まだ明るい空に、かすかに覚えている彼女の顔を映し出して、じっと見つめてい
た。
祐輔の高校はこの日の試合から3試合目で負けた。
3回戦突破という壁を大きく更新する事となる。