私の釣りは、人里離れた秘境の地、源流や支谷など山奥まで歩くものでして、原始的な餌釣りで、深山幽谷を対象とするため、川には陽の光はあまり届かず、暗い釣りといえます。

本来、源流での釣りは、清冽な水の流れ、美しい滝、緑の息遣い、野生動物達との出会い、それら深山幽谷の景色が創り出す神秘な世界があって、はじめて成り立つ釣り、景色を釣る釣り「山釣り」というべきものだと思っております。川の流れる場所で沢登り、山登りをしながら竿を出すといった感じです。


さて、某有名河川の源流部でございますが、ゲートから2時間も歩けば1枚目、2枚目の写真のような溪相の続く、まさに野生の岩魚が踊る深山幽谷でしたが、そこを抜けると、こんな光景が・・・・。


川が生きている限り、釣りによって渓流魚が絶えることはありません。この渓谷にも、かつては源流部は箱渕といって、険しい切り立ったゴルジェに守られた足場のない深淵があって、釣りに訪れる人を拒んでおり、まさに渓流魚の楽園でした。

渓谷の深淵はコンクリートの林道と、瓦礫の下に消えました。


「國敗れて山河あり」「土建屋栄えて山河無し」


こういった光景は日本の山岳渓流のいたるところで見られます。今や、渓流釣りは漁協の放流のある場所でしか成り立たなくなりつつあります。


遥かなる「山釣り」の世界はこの地方では幻想の中にしかもはやないのかもしれません。
