春樹長編、39年ぶりの再読
ブルースカイというサイトに書いた感想を転載します。
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村上春樹の第4作「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を四十年ぶりくらいで読み直した。
ほぼすべて忘れていたので、こんな疑似科学小説だったかと、不思議な気分。
初めて読んだときは何だか分からん話だなと思った記憶があるが、還暦間近で読んだ感想は「ずいぶんいい加減な小説に見えるが、丸山才一や大江健三郎のような人には、これが評価されるのだな(*)」ということ。
まったくつまらない、というわけではないが、ハードボイルドとsfのできの悪いパロディを読まされているような気になってしまったことは否定できない。
終わり方は感慨深さと余韻があっていいと思うんですけどね。
それから、とにかくあれこれの文学作品や楽曲の題名がたくさん出てくるもんで、うわー、ここまで多かっったかなと、それも印象的だった。カスタネダの「ドン・ファンの教え」まで出てきてて驚き。初めて読んだときは、カスタネダなんて知らなかったですからね。
(*)谷崎賞の選評参照
https://murakami-haruki-times.com/maruyasaiichireview/index.html