2020年から証券会社に口座を作って、いわゆる投資というものを始めたんですが、その前は銀行預金以外の資産というと、退職金の足しにという感じでの持株会を通じた勤務先の株式の積立てと生命保険の2つのみでした。
生命保険については、医療特約付きの終身保険ということで、死亡保障が欲しくてというよりも、入院・通院時の医療保険と解約返戻金を老後の費用にも充てることができるという見込みで契約していたんですよね。
ただ、投資として見れば極めて効率が悪いというか、基本的には積立てた額に対してほぼリターンは期待できないという内容になっています。(保険にそんなものを期待するなって話ではありますが)
あくまで保険なので、保険部分の費用と生命保険会社の諸々の経費を差し引いた後のものが投資の原資になっている(という形になっている)から当然と言えば当然なんですけどね。
生命保険を老後の資金としての蓄えとするという考え方自体はありがちではあるけれど、少なくとも投資商品として見れば効率が悪すぎる商品であることは巷間よく言われることかと思います。
僕自身も、2020年の投資開始時点でそういった認識はあったし、その後も時折どうするかなぁ(解約してその分を投資に回す?)というのは考えてはいたんですけど、「まあ、大きく損をするわけでもないし、死亡保障や解約返戻金(こっちの方は解約のタイミングで変動はしますが)は確定されているので、まいっか」(保険金と解約返戻金は60歳以降はプラマイゼロくらい?という認識)と思って、そのまま放置して保険料も月々支払ってきました。
ところが、来年の積立て分からiDeCoの月額上限が上がり、節税効果を考えると上限まで拠出額を増やすこととしています。
一方で、(節約生活ではなく今まで通りの生活をしていると)投資に回す資金が結構カツカツなところがあり(リスク資産が増えれば、リスク:無リスクの比率を保つために無リスク資産としてキープすべき金額も大きくなりますし)、さてどうやって費用を捻出するかなと考えていて……
ああ、そういえば生命保険があるじゃないというところにたどり着きました。
これを解約すると、保険料として支払っていた月額2万円ほどの資金を他で積立てできますし、現時点での解約返戻金350万円ほども投資に回せます。
ただし、検討事項がいくつかありましたので、それらの検討内容を以下にまとめておきます。
●死亡保障や医療保障について、保険を解約して大丈夫か。
死亡保障については、そもそも大きな金額を残す必要が無いという個人的な事情もありますが、そもそもこの保険の死亡保障が500万円(しかない)なんですよね。
現状、リスク資産・無リスク資産合わせればその数倍の資産にはなっているので特に問題は無いかなと判断しました。
医療保障については、この生命保険とは別に都道府県民共済の総合保障2型に加入しています。
そもそも健康保険がありますから負担は3割ということに加えて、高額療養費制度を使えば月々の医療費は上限までしかからないということを実体験としてもわかっていましたので、現状の資産と共済があれば問題なしと判断しました。
https://www.tomin-kyosai.or.jp/product/life/total/
共済の補償内容はこんな感じで、入院だと5,000円/日、通院でも1,500円/日が支払われます。
仮にですが、1ヶ月丸々入院した場合であっても保険診療の範囲内であれば、高額療養費制度を使えば窓口で支払うのは10万円程度ですから、この共済だけで費用を賄うことができます。(差額ベット代や食事代は別)
ただし、終身保険に特約で付けている医療保障は保険料払込満了後は終身保障されますが、共済の方は現在の契約内容は65歳まで、その後は85歳まで使えるタイプもありますが、保障は小さくなってしまいます。
ただ、そのあたりの年齢になった場合の収入は、(金融所得を除くと)年金だけになっているはずなので、(所得に応じて上限が変わるため)高額療養費制度による上限も低くなるはずですし、現状のペースで資産形成が出来れば必要な医療費はその取崩しで賄えるであろうという見込みです。
いずれにしても、保険の本来の目的である死亡や医療に関する保障については、ある程度資産ができてきた現状を踏まえれば不要という判断しました。
●生命保険の契約を継続した場合と投資に回した場合に比して損得があるのかないのか。
これについては現時点での解約返戻金と月額分は積立てしてリスク資産として運用する場合と、確定している解約返戻金とを比較してみました。
一応細かい数字は伏せてますが、こんな感じで表を作って65歳までのこの先10数年分試算してみました。
契約をこのまま継続した場合の65歳時点での解約返戻金は約570万円です。
一方で、現時点で解約して解約返戻金と月々の保険金を投資に回した場合、平均1%の年間利回りでの運用だとしても600万円位まで増える計算でした。
仮に運用利回り3%で計算すると65歳時点で760万円となります。オルカンの期待リターンから考えてもだいぶ保守的な利回りの想定でも投資に回した方がリターンは大きいという結果です。
リタイア予定の65歳まででも10数年運用期間がありますから、運用期間は少なくともこの程度は見込めます。
過去の事例に基づいて予測するという条件では、どんなに悪くても生命保険の契約を継続するよりはリターンは見込めるだろうと思います。
(世界恐慌レベルの大暴落がくれば厳しいかな……その時はあきらめましょう)
まあ、死亡・医療は(決まった金額が支払われるという意味で)無リスク資産と見ることができますが、僕の今の契約内容だと累計保険料に解約返戻金が追いつくのは75歳ごろという内容ですから、そもそも資産形成に資するものではないんですけどね。
(ということを、この記事を書くために契約時の提案書などを確認してる過程で再確認しました(;^ω^) )
また、運用期間をできるだけ長く取った方が元本割れの可能性は小さくなりますから、リスク資産に回すなら早い方が良いということもありますね。
ということで、リターンを考えた場合の保険と資産運用との対比については、比べるまでも無いというくらいの感じで、運用に回すことが正解ということになります。
上記は、これから先の話ですが、これまでのことで言えば、現時点で解約すると350万円+α程度返戻金として戻ってきます。
これまでに支払った保険料が380万円ほどなので、支払った保険料に対してはマイナスになっています。
ただ、この先の相場がどうなっても解約返戻金が上がることは無い(下がることもありませんが)ので、投資として考えれば「極めて利回りが悪い(ほぼ0%)、しかもそれが確定している」商品ということになりますから、損切りしてよりリターンが期待できる商品に乗り換えると考えれば、さして問題にはなりません。
また、過去に3回ほど給付金を受け取っており、それがこのマイナス分を補ってなお、いくらか余る程度もらっていますので実際上は少しプラスのリターンで終了という感じになります。
●生命保険控除が無くなるがそれをどう考えるか
所得税の生命保険料控除を受けていますが、生命保険を解約した場合はこの控除を受けられなくなってしまいますが、それについてどう考えるかというところですね。
そもそも、生命保険料控除は生命保険料の全額が控除されるわけではないので、一定以上の生命保険料を支払っている場合は所得控除的には無駄が多いんですよね。
現状の契約内容だと、この保険契約にまつわる控除の上限は5万円となり、年間で25万円ほど保険料を支払っていますが5万円しか控除されません。(さらには、共済の生命保険料部分の控除はまったく活かせず無駄になっていました)
一方で、解約して保険料をそのままiDeCoの来年買付分からの増額に充当した場合を考えます。
iDeCoは現状は月額12,000円の上限いっぱいまで拠出していますが、これが来年からは月額20,000円に引き上げられますので、8,000円の増額となります。
iDeCoの場合は拠出金の全額が所得から控除されます(※)ので、来年以降は8,000円×12ヶ月=96,000円が今年より多く所得控除されることになり、この時点で生命保険料控除を上回る節税効果が見込めます。
※ iDeCoについては所得税が非課税になるのではなく課税の先送り(受取時に課税対象となる)ではありますが、一時金として受け取った場合は退職金と合わせても退職所得控除の範囲内に収まる=実質的にも非課税となる見込みです
ということで、節税という観点でもメリットの方がだいぶ大きいことになります。
というようなことを先週末に思いついて検討して……
このブログをある程度継続して読んでいただいている方なら、なんとなく僕の性分はお分かりかと思いますが、だいたい思い付く⇒ザックリ検討してみて⇒問題なければ即実行、というくらいにはアバウトに(投資を)やってきていますので今回も即実行です。
ということで、週明けに保険会社に連絡して解約書類を依頼たところ、今日書類が届いたので早速ネットで解約手続きも完了しました。
書類請求時、電話口で解約の理由を聞かれましたが、シンプルに「必要な保障額が手当てできたから」と言ったら、特に何か提案(契約内容の変更・払い済みにするとか)をされることもなく、「ああ、なるほど」という雰囲気でしたので結構こういう理由での解約が多くなっているのかもですね。
新しいNISAが始まって投資への機運も高まっている中で投資資金確保の手段として生命保険の解約を検討するというのは普通にありそうな感じもします。
カン・チュンドさんも2月に以下のような記事をアップされていて、原資候補の一つとして生命保険を挙げておられます。
あと、オトナンサーというwebメディアですが、以下のような記事も見つけました。
CFP・社会保険労務士・キャリアコンサルタントの田形正広さんへのインタビュー形式の記事です。
生命保険という商品のメリット・デメリット、見直しにおけるポイントなど良くまとまった良記事だと思いました。
このあたりのポイントで考えてみて、生命保険の必要性の有無を検討するのも投資効率を上げる(入金力をアップする)一つの方策なのでは無いかなと思う次第です。
もちろん、遺される方々に十分な資金を準備できていない状況では、相当額の死亡保険金が受け取れる定期保険に入っておくとかということを否定するものではないですけどね。
むしろ、こういうニーズには保険で無いと対応できないですから、積極的に生命保険なりの契約を検討すべきかと思います。
記事中、ブログを紹介させてもらっている、カン・チュンドさんの著作。
積立て投資の出口戦略をわかりやすく解説されている書籍で、資産をいかにして取り崩して老後の資金を確保していくかという方策、老後が近くなっていく中でポートフォリオをどういう形に構築していくかについての参考になります。
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