金融所得に対しても社会保険料の算定対象とすることの検討が始まったという話が先月下旬に報道されて、「すわ、NISAに投資させておいてそれを対象にする政府の企みか(# ゚Д゚)」とか「社会保険だから税金じゃないっていうロジックでNISAからも取り立てるのか(怒)」的な話がSNSとかブログでも出てきましたが……

 

 

一方で、「おまいらもちつけ」的な感じで、これまでに公開されている行政の資料をもとに、「少なくともNISAは対象にはならねんじゃね?」的な話もネット上で見かけたりしていたんですが、政府の公式見解が先週出ましたね。

 

 

「厚生労働省幹部は14日の参院財政金融委員会で、政府が検討する能力に応じた社会保険料負担のあり方に関連し「政府として非課税となっているNISA(少額投資非課税制度) 口座内の所得を対象とすることは考えていない」と語った。柳ヶ瀬裕文委員(維教)に対する答弁。」

ということで、少なくとも現時点ではNISAを対象とすることは「考えていない」ということですので、まずはご安心をということかなと。

 

この見解が出る前、ネット上で見かけた「NISAは対象外のはず」という見解の裏付けも一応探し出してはあったんですが、それを記事にする前に公式見解が出たので無駄になって(・д・)チッって感じでしたが、せっかく探したやつなので放流しておきます。

 

まずは財務省の公開しているものです。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20231101/01.pdf

 

財政制度分科会(令和5年11月1日開催)の資料です。

この中、スライドの152枚目(右下のページ№は151)が以下の通り。

 

 

このスライドそのものは、上場株式の配当について、源泉徴収のみで完結する(確定申告をしない)場合は保険料の対象となっておらず公平性の観点から問題があることを説明しているものです。

 

一番下のところ、あくまで(案)ですが改革の方向性が示されています。

 

 

赤枠で囲んだところ「NISAなどの非課税所得」は「保険料においても深対象としないことを前提とする必要がある」ことが明記されています。

 

また、保険料を徴収したい厚生労働省においても以下の資料を見つけました。

https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001197739.pdf

 

令和6年1月26日の社会保障審議会における資料です。

この中のP16に以下の記述があります。

 

 

おそらくは上記の財務省資料あたりの方向性を踏まえた記述なのだと思いますが、「資産運用立国に向けた取組や国民の安定的な金融資産形成の促進などにも配慮しながら」とあり、直接的な表現ではないですが、NISA制度等の制度への配慮が必要ということでいたずらに負担の対象とはしないものと読み取れます。

 

現時点では……という但し書きつきではありますが、少なくとも今回の社会保険料負担の検討対象からはNISA制度等の非課税制度は含まれないという方向性は確認できるかと思います。

 

そもそも、今回問題になっている社会保険料負担の公平性というのは、例えば株式からの配当だけで数百万とかそれ以上の収入を得ている高齢者(それしか所得がない)について、確定申告していなければ社会保険料の負担を生じない(課税口座であれば徴税はされている)というようなことがスタート地点にあるわけですが、そこは徴収対象となるのが妥当かなぁと個人的には思います。

 

ただ一方で、先月ネット上で盛り上がった際に見かけた、課税や社会保険料の徴収された後の所得をリスクを取って投資した結果として得た収入からも徴収するのかよ、というのは僕自身もそういう形で投資している訳で共感もします。

また、そもそも収入をどのように捕捉するのかというところの課題も多そうですし、これから先の議論は注目してみておく必要はあるのかなと思います。

 

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また、一部に今回の日経新聞の報道にあった「株式の配当などの金融所得を反映する仕組みの検討を始めた。」との記載から配当や分配金のみが対象となっているのではないか=分配金が出ない投資信託の方が有利なのではないか、という論調もありましたが、資料を見る限りそれはどうかなぁと思えます。

 

財務省の公表資料のフロー図の中では確かに「上場株式の配当」と書かれていますが、

その下に、「上場株式の配当 (総合課税・申告分離 課税・申告不要)」に関する注記が(注1)として以下のように記載されています。

 

 

「上場株式の譲渡益について、源泉徴収口座(源泉徴収を選択した特定口座)を通じて取引が行われた場合」とあり、そのまま読めばこれも申告不要を選択した場合は公平性に欠けると把握しているように思います。

 

厚生労働省の資料でも「医療・介護保険 における負担への金融資産等の保有状況の反映の在り方について検討を行う」とあり、「金融資産等の保有状況」が意味するところが、配当・分配金だけを指しているようには見えないんですがどうでしょうかね。

 

冒頭のリンク先の記事でも「政府として非課税となっているNISA(少額投資非課税制度) 口座内の所得を対象とすることは考えていない」とあり、NISAは対象外というのが主題ではあるのだけれどその中で「口座内の所得」という表現を使っているあたり、うがった見方かもしれませんが金融所得全般をターゲットにしているような感じもします。

 

ともあれ、そのあたりも含めて今後の議論は注視していきたいと思います。

 

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