幕末です ニコニコ

150年前の本日は、慶応3年9月13日

この日賀陽宮(中川宮)は、勇さんを暗殺された原市之進さんの後任に推挙。

またそれとは別に、自分の家来として借用したい旨を示しました チョキ

 

    〇 同十三日(中略)

一 秋月悌二郎依招参ル 幕大小目附之内原市之進ノカハリ可致人體モ無之 予ケ勘考ニハ新撰組近藤勇可然哉 若長防之者上坂之節為相對と存旨噺候處 至極ト申且永井玄番ニ申候ヘハ可行内々咄候也 又同人 予方ヘ借用之義 肥後守へ内談 (後略)     

   (朝彦親王日記)

 

 

去る8月14日、幕府目付の原市之進さんが暗殺されましたね。

 (その時の記事は、こちら☆ )

 

その後任に勇さんを推挙したばかりか、自分の家来にしたいなどとお話されたという事。

さすが局長、頼もしい存在であったようですね ニコニコ

 

 

そしてちょうどこの頃、歳様が江戸に向かって出立される頃。

これははっきりした日付の史料はないのですが

9月24日(10月21日)に、江戸に到着したことが、佐藤彦五郎日記に記されています。

勇さんの元治元年の東下のときのように、五日間で京都ー江戸間を通過したとは思えないので 爆  笑

(この五日間という日にち、新選組検定にありました)

この頃か、もうちっと前かなぁ キョロキョロ

 

 

という事で、屯所です キラキラ

 

 

「総司、いいか? 入るぞ」

歳三が返事を待たずして、総司の部屋へ入ってきた。

総司がちょうど薬を飲んでいた時で、思いっきりのしかめっ面で、歳三と目があった。

一瞬、ぎょっとしたように、歳三の目が見開かれる 目

 

慌てて薬を飲みこんだ総司が、けふけふと少しむせて、涙目になった。

傍らにいた鉄之助が、慌てて白湯を飲ませる。

「副長、いきなり入るのは止めて下さいっ むかっ

「す、すまん…」

鉄之助の勢いに、思わず歳三が謝った。

 

「だ、大丈夫ですよ。鉄君、ありがとう…」

総司が居住まいを正しつつ、歳三に向き合う。

「も、申し訳ありませんっ!!」

副長に向かって放った自分の言葉に、鉄之助が赤面する。

ふっと歳三が笑う。

「忙しいヤツだなぁ、怒ったり謝ったり…」

総司がそんな歳三を見て

「お陰様で、退屈しません」

と、微笑んだ。

 

「で、では私はこれで。ごゆっくりとお話を…」

鉄之助が座ったままジリジリと後退し、薬盆を引き寄せる。

「いや鉄、お前もここに」

「は、はい」

緊張の面持ちで、鉄之助も座りなおして歳三に向き合う。

 

「総司、近々に源さんと共に江戸へ下る」

「ええ、聞いてます。新入隊士を連れてくると」

「お前も、共に来い」

「……」

「特に急ぐ旅でもない。お前の具合を見ながら江戸に向かえば良い」

「……」

「まぁ、少々気にはなるが、山崎もいるし、あちらには、斎藤もいるしな」

「……」

「鉄、お前も一緒だ」

真一文字に口を引き結んで返事をしない総司から、歳三は神妙な顔をしている鉄之助に目を向けた。

「お、俺、いや、私ですか?」

「総司を守ってやってくれ」

 

「ふふふ…」

総司の口元が歪む。

「私も安く見られたものですね」

歳三の視線が、すっと鋭く総司に向けられた。

「沖田総司、痩せても枯れても新選組一番組頭です。昨日今日入隊した小童に守られてどうするんですか」

「お、沖田先生!?」

 

「ほう、その身で何を言う」

歳三が口角を上げた。

「ひ、土方副長…」

鉄之助が情けない声を出す。

「この身であっても、土方歳三には負けませんよ」

総司の言葉に、歳三の眼が細められる。

二人の無言のにらみ合いに、鉄之助が息を飲んだ。

 

『総司、つべこべ言わずに一緒に江戸に来い』

『その手には乗りませんよ、歳さん』

『頼むから…』

『江戸に連れていって、私を置いて来る気でしょう?』

『勇さんもそれを望んでいる。姉さんのところで療養しろ』

『嫌です。何の為に私は京に来たのですか』

『勇さんの事なら任せろ。俺が命に代えても守るから』

『じゃぁ、歳さんが江戸に下っている間はどうするのです?』

『それは…』

『やはり私が局長を守らなければ!』

『……』

『それだけじゃない。山南さんとの約束もある』

『山南さん…』

 

ふっと歳三の目から力が抜けた。

「そうだったな。俺はお前に勝った試しがない」

敬助の切腹の少し前も (総司の想い

敬助の葬儀の夜も (敬助葬儀&その夜

俺はお前に勝ったことが、ない。

 

「鉄、総司を頼んだぞ」

すいっと、歳三が立ち上がった。

「は、はいっ!」

「お帰りを待っていますよ、副長」

「ふん、おめぇの待ってるのは江戸の菓子だろ」

あはは、と総司が笑う。

 

『そのままの笑顔で待ってろよ』

『勿論ですよ、歳さん』

 

二人の無言の会話の中身がさっぱりわからず、鉄之助が小さく呟く。

「で、俺は江戸に行くのか? 行かないのか??」

 

 

   2017年神無月10日  汐海 珠里