ファンタジーオンアイス2019
幕張公演
3日目
リハーサルで
ゆづ沼に落ちた
僕
その日のラスト
マスカレイドは
初日よりも
さらに
鬼気迫り
観客の皆さんも
恐らく
あまりの
戦慄のパフォーマンスに
息を飲んだかもしれない
「勇気の真実」
と歌い終えた
僕は
羽生結弦の
クライマックスを
サングラス越しに
恐る恐る
覗き込んだ
あまりにも
神々しく
まばゆい
青白い光を
身体中から
発光させながら
仮面に見立てた
グローブを
思い切り
氷上に
すべての思いを込めて
叩きつけようと
振りかぶった
その瞬間
僕は
もはや
畏怖の念に
恐れおののいていた
そして
彼は
力の限り
偽りの仮面を
叩き割った
すべての
怒り
悲しみ
痛み
孤独
は
解放され
その
ほとばしる
エネルギーは
リンクの氷を
切り裂きながら
僕の
全身
全心
に
突き刺さった
そして
僕の瞳からは
血の涙
が
滴り落ちた
その瞬間
僕は
拳を突き上げ
人差し指を
天にかざしていた
まさしく
No1
絶対王者として
人として
羽生結弦として
絶対的
No1
僕が
完堕ちした
瞬間だった
僕は
確かに
見たんだ
本当の
勇気の真実
を