ファンタジーオンアイス神戸公演
3公演
終了いたしました
夢のような日々
最後の最後に待っていたドラマは
とんでもない
超感動のフィナーレ
今思い返しても
体が震えて
目頭が熱くなる
羽生結弦さん
貴方という人は…
先日の
仙台公演最終日のマスカレイド
ジャンプがあまり上手く行かなかった彼は
終演後、
僕の楽屋に挨拶に来てくださったとき
僕の楽屋の前で
僕に謝りながら
壁を叩き
悔しがっていた
そして5日後、
神戸初日のマスカレイド
とんでもない
想像を絶する
魂のパフォーマンスを見せて下さった
仙台公演終了後から神戸公演初日までの
その4日間
神戸公演から始まる
新しいプログラムの練習だけでも
とんでもなく大変だったであろう
たった5日後
神戸公演初日
超絶進化を遂げていた
完璧なまでに完璧な
マスカレイド
ジャンプも全て美しく飛び切った
僕は魂込めて歌いながらも
その奇跡を
見ていた
喉元に突き上げるような
熱い想いが込み上げる
「この時間がずっと続いて欲しい」
そして、今日、神戸3日目最終公演のマスカレイド
今回も、ジャンプは少し不調のようだった
3日目連続で続く公演
その間も休む事なく
ずっと、全力で、練習、練習、練習
体力も精神力も限界を振り切っているのは
容易に想像できる
マスカレイドをパフォーマンス後、
リンク中央から僕のいるステージに近づいてくる
いつもにも増して、ドボドボと滝のように流れ落ちる汗
悔しそうな顔
申し訳ないという表情を僕に向けた
僕はなぜか感謝の気持ちが込み上げて
「ありがとう」
と握手しながら伝えた
そして、その数分後
グランドフィナーレ
スケーターたちが自らのジャンプを披露する
最後に挑戦するのは
羽生結弦
1回目は三回転
綺麗に決めたように見えたが
彼は納得がいかない様子で
人差し指を一本立て
もう一回の合図
僕は内心、
もういいよ、充分だよ、
無理しないでいいよ
という気持ちと
もう一度見たい!
やってくれゆづ!
という身勝手な気持ちが交錯して
なんだかわからない気持ちになる
そしてゆづは助走をつけ
どんどんスピードを上げていく
飛んだ
4回転
それは
完璧に
美しく
飛んでいるその瞬間は
全ての物音が消えたかのような
ゆづの時間以外はすべて止まったかのような
不思議な感覚だった
そして着地
ガッツポーズ
時が一気に動き出す
会場の天井がぶっ飛んでしまうかのような大声援
スケーター全員がリンク中央のゆづに
ものすごいスピードで
奇声を発しながら駆け寄る
会場は異様な興奮と
とんでもない感動に満ち満ちている
僕は
思わず
右手の人差し指を天に向かって突き上げて
わけのわからない
雄叫びを上げていた
スケートリンクに飛び込みたい衝動を
なんとか超絶我慢しながら
なおも叫び続ける
ゆづ〜!
やった〜!
ありがとう〜!
リンク中央でゆづと抱き合うスケーター
みんな、叫んでいる、泣いている
喜びが爆発している
なんて美しい景色
奇跡だけど
確かに現実なんだ
「この時間がずっと続いて欲しい…」
また、そんな思いで胸が一杯だった
4回転ルッツという
以前それで怪我をした
とても難易度の高い技
だと後に伺った
僕は今、人生の中で
とても貴重な
とても大切な
時間の中に
奇跡のような
まぎれもない現実の中に
いる
ありがとう
ゆづ