今日のブログは、「若者は地方にはやりたい仕事がないと言うが、具体的な意味は何か?本当か?」についてです。私の頭の中で、整理できていない問題ある場合、私は、それについて考えていることをとりあえず文章にしてみるということをします。今回のブログも、それに当たるもので、うまく整理できていないので、その点、お許しください。

 

多くの調査で、地方から都会に流れ出る理由として、「地元にはやりたい仕事がない、就職したい会社がない」との答えを目にします。それは具体的にはどういう意味でしょうか。これまで、さらに突っ込んで、「やりたい仕事は具体的に何ですか?東京に就職して、やりたい仕事につけましたか?」と質問した調査を見たことがないのです。この点を調べないと、若者の流出に悩む地方側が有効な対策を打ち出せないのではないでしょうか?

 

行うべきは、都会に流出した若者を調査して、「地方にはやりたい仕事がないって具体的にはどんな意味ですか」と聞かないといけないのです。

 

このことを教えてくれたのは、人口問題研究所の調査です。5年おきに独身の若者に対して、若者が結婚しない理由を調査しているのですが、一番目の理由は、「適当な異性との出会いがない」とのことでした。これっていろんな意味に解釈できるのですが、この研究所はさらに踏み込んで調査していて、①周りにそもそも異性がいないという意味なのか、②異性はいるけど自分の希望に合う異性がいないことなのかを尋ねています。その結果、圧倒的に多かったのは、①のそもそも周りに異性がいないという答えだったのです。対策は、出会いの場をどうやって作るかということになります。

 

地方に住む若者が地方から都会へ流出するルートは二つあります(男女別に調べる必要があります)。

1.高校卒業と同時に都会へ就職するパターン。工業高校などの理系と普通高校に分けて考えます。

2.高校卒業後、都市部の大学へ進学し、卒業後にその都市もしくは東京へ就職するパターン。学部が理系か文系かで分けて考えます。

 

それぞれの町によって上記の1と2のどちらのパターンによる流出が多いのかにより、調査の優先順位は変わります。

 

上記、1と2のどちらの場合においても、就職活動の前もしくは最中に「卒業後は、どの町に住みたいか」について調査を行い、育った町ではなく、都会に移りたいと答えた場合には、その理由を聞きます。

 

その理由として「地元にはやりたいし仕事がない」、「就職したい企業がない」と答えた場合には、具体的にその業種名や企業名を聞きます。そして、就職活動が終了して卒業後に、現実に、その学生さんがどの業種・会社に就職したのかを調べて分析をするべきです。特に重要なのが、実際に地元を離れる人に対する調査です。

 

というのは、福大の経済学部の学生の就職活動を見ていても、3年生の冬の時期に、どの業種に就職したい、どの会社に就職したいと明確に意識している学生は全体の1割もいないというのが私の体感温度だからです。なんとなくイメージで決めている感じがするのです。明確な理由がなければ、その決断は覆すことが可能です。

 

なお、理系の学生は、大学入試の際に、理系を選ぶという大きな決断をしているので、状況はかなり違うと思いますが、これは私が詳しく知らない点となります。

 

また、福大は偏差値50くらいで、学力ピラミッドでいえば、上から四分の一辺りに位置します。九州大学や西南大学、福大より下の九産大、さらに下の日本経済大学などではさらに事情は異なるでしょう。

 

福大の文系に限って議論を進めると、東京での就職を希望した学生の中には、最新技術であるプロジェクションマッピングをしたいという明確な希望を持つ学生もいまして、そのような会社は東京にしかないので、その学生が東京に行くのには明確な理由があります。福岡市にいるように行動を変えるのはなかなか大変です。

 

これまで現実に東京に就職した学生が就職する会社を見ても、給料の違いはありますが、福岡にある会社とそう大きな違いはないことが多いです。大都市で働いていると、なんとなくキラキラした仕事・会社のように感じるかもしれませんが、例えば文系の学生が東京で就職するIT企業などは下請けの企業が多く、自社独自のシステムを持っているような会社に入れる学生はごく一部です。福岡市には電通のような、伊藤忠のようなキラキラした会社はありませんが、福大生が東京に就職をしたからと言って、そのような会社に入れることはまずありません。そのグループ会社に入ることすら滅多にありません。

 

東京に行く理由があいまいな場合には、学生に、現実的な情報を与えることにより行動を変えることが可能ではないかと思います。文系の学生に対しては、もっと早めに就職指導を始めて、就職の現実、東京の暮らしの現実を教えれば、かなり東京への流出は減るのではないかと感じます。

 

まだ明快な答えはないのですが、「地元にはやりたい仕事・就職したい会社がない」というのは、高望みをしているか、ただ単にテレビなどで見たイメージだけでなんとなく東京の会社の方がよさそうだと感じているだけではないでしょうか。

 

東京の大学に流出した若者についても、キラキラした一部上場企業に入れるような大学に入ることのできる若者はそう多くありません。福岡から離れて東京に住む若者に、このような指導を行うのは親しかありませんが、そのような指導をしている親を見たことがありません。

 

結局、親が地元を離れた方が良いと思っていることが、流出が止められない大きな原因のような気がします。そうなると、東京に出ても家が買えない、東京に出ると長時間通勤を30年以上続けないといけない、東京に出ると子育てが大変で子供一人で精いっぱいである、老後が大変であることを、まず親やその地域に住むおじさん、おばさんに理解させるのが先かもしれません。

 

ある女子学生は、就職の第一の目的としてふるさとを離れ東京で暮らすことでした。男尊女卑が影響しているのか、東京の暮らしがよさそうに思えるのか。彼女は、とにかく地元を離れたいと言っていました。これがどういう意味なのか。そして、東京に住んでいることを今、どう感じているのか、聞いてみないといけません。

 

とりとめのないメモで申し訳ありません。