ザ・コア / THE CORE (3点) | 日米映画批評 from Hollywood

ザ・コア / THE CORE (3点)

採点:★★★☆☆☆☆☆☆☆
2016年1月15日(TV)
主演:アーロン・エックハート、ヒラリー・スワンク
監督:ジョン・アミエル

 

 毎年、年末になると毎晩深夜に映画が放映されている。その中の1つであるこの作品。2003年に公開されたので13年経過していることになる・・・。

【一口コメント】
 「
インディペンデンス・デイ」、「アルマゲドン」、「ディープ・インパクト」が地球外からの脅威だったのに対し、この作品は文字通り地球"内部"の脅威を扱った作品です。


【ストーリー】
 ボストンでペースメーカー使用者32名が突然死した。またスペースシャトルのエンデバーも地球帰還時に電子機器異常を起こし、ロサンゼルスに不時着する事態が発生した。
 調査を行ったシカゴ大学教授キーズと、ジムスキー博士は、これらの原因は地球の核の回転が停止し、地球の磁場が不安定になったからだという。このまま磁場が消失すると1年後には地球が滅亡するという結論に至り、彼らはコアを再始動するために、地下3000㎞のマントルまで行き、核爆発を行うという作戦を立てる。
 そして世界中から各分野のスペシャリストが招集された―――。

 

【感想】
 今までに数多くの地球滅亡映画があった。破壊王エメリッヒ監督作品「
インディペンデンス・デイ」、「デイ・アフター・トゥモロー」にはじまり、「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」など多くの作品が作られてきたが、基本宇宙人や隕石といった地球外からの要因がきかっけとなる作品が多かった。
 そんな中、この作品は地球内部がきっかけとなる珍しい作品。しかし人類は宇宙には行ったことがあるが、地球内部はまだ未開の地だ。厳密にはある程度の深さまでしか潜ったことがない・・・。

 この前提が珍しいといえば珍しいのだが、映像的には地味になってしまう。隕石や宇宙人というのは昼にせよ、夜にせよ、地表における人類のパニック状態を描ける。そうした意味ではこの作品のオープニングは非常に上手かった。未知の原因でパニックに陥る人類を描くという意味での突然死やスペース・シャトルの電子障害などの描写は絶妙だった。しかしいったん地中に潜ってしまってからが、地味な映像の展開で地表における映像は閉ざされた司令室のみ。
 これが従来の滅亡映画なら、地球上のあらゆる場所でパニックになっている人類の映像を映し出せるのだが、この作品ではそれがない。

 さらに輪をかけているのが、極秘任務として関係者以外が地球に危機が迫っていることを知らないまま物語が進むこと。その結果、このミッションの関係者しか知らず、従来の作品なら出てくるミッションに挑むメンバーの家族や恋人といった要素が一切出てこない。普通ならそこで涙を誘うのだが、それがないため、人が死んでも感動につながらない。
 また6人の乗船メンバーが1人ずつ死んでいくのだが、死にすぎ感がある。その原因は誰かが死んだ後にその死を悲しむ場面がないこと。6人しかいないのにも関わらず、チームの絆のようなものが薄い。また上述の家族や恋人と遠隔通信で話す・・・といった場面もないため、感情移入できない。
 そもそも6人の人物描写が薄いため、死=悲しみとはならない。こういったパニック映画の定石通り、地球を救うメンバーの中に不穏分子=ジムスキー博士を入れて、観客の憎しみを一手に引き受けるキャラを入れているのに、そこを活かしきれていないのももったいない・・・。

 そしてもう1つ言及したいのが地底探査船バージルの存在。
 劇中でも言われていたように、人類が到達できた深さは未だ1000kmに届いていないのにも関わらず、3000kmを超えて地球のコアにまで達するという夢物語以外の何物でもないのだが、このストーリー上絶対に不可欠なアイテムである。
 しかしこれを1人の天才が作ったという設定にはさすがに無理がある。超音波を利用して地球上のいろんなものを破砕可能なレーザービームのようなもので、戦争兵器に転用されたらとんでもない道具でもある。
 また同じ人物が作ったという、熱と圧力をエネルギーに変える超合金・アンオプタニウムなるものまで登場する。この超合金によって作られた地底探査船バージルなのだが、いくつかのパーツを結合していて、何か故障があるたびにパーツを切り離していく形状。先頭部分は基本何が起きても問題ないのにも関わらず、切り離された部分は何故か簡単につぶれたり高温で溶けたりという現象に見舞われる。アンオプタニウム自体の存在は物語を進める上で必要だとは思うのだが、この辺の細かい矛盾点は解消しておいてほしいものだ。先頭パーツ以外は時間と予算の関係でアンオプタニウムを使うことができなかった・・・とか一言入れるだけでも良いので・・・。
 そして行きはあんなにも苦労したのに、地表への帰り道は思ったよりも簡単に帰ってこれるという演出もなんだかな・・・?あんなオチなら、全員死んだ方がこのミッションの難しさが際立ち、作品としては良かったのではないか?とさえ思ったりもした。

 地中世界の描写についても、人類誰も見たことないし、何をしたって色々言われるのはわかっているのだから、思いっきり振り切っても良かったと思うのだが、巨大クリスタルの洞窟とか現実にメキシコの地表に近い地下にあるものを描写されても・・・。
 せっかく今まで前例のない設定にしたのに、そこは現実世界の延長にするのか?と残念な気持ちになった。

 とまぁ、基本ダメダメな作品なのだが、今回コアが止まったその根本原因が実は米軍の地震発生装置の影響という設定は非常に面白い。この部分をもっと掘り下げていけばまた違った感想になっていたと思う。
 それと最後に天才ハッカーが行った行為をもっと早い段階で行っていたら、また違った展開が望めたのではないだろうか?地球の危機を知った人類が、それこそ世界中が一致団結して地球の危機に望む!的な・・・、と思うともう少しやり方があったようにも思う。

 全体的には突っ込みどころ満載だが、一度見始めると途中でやめるのが惜しい、B級映画臭満載の映画でもある。