駅前の繁華街。
人通りのざわめきの中で、祐奈は小さく息を吐いた。
「……もうちょっと、話そうか」
彼女の言葉は、まるで自分に言い訳しているように聞こえた。
「……ああ」
祐介は短く答え、隣を歩く彼女の手元を見た。
細い指先はバッグのストラップを握りしめ、かすかに震えていた。
やがて二人は、繁華街の外れにある小さなホテルの前で立ち止まった。
派手なネオンが、どこか場違いなほど鮮やかに光っている。
祐奈は一度俯き、唇を噛んだ。
そして、ほんの一瞬祐介を見上げる。
その潤んだ瞳に宿る迷いと熱に、祐介はもう抗えなかった。
「……入ろうか」
言葉にした瞬間、心臓が破裂しそうだった。
祐奈は黙って頷く。
自動ドアを抜けると、外の喧騒は嘘のように消え、静かな空気に包まれた。
受付の小さなベルの音さえ、やけに耳に残る。
鍵を受け取って部屋へ向かう間、二人の間にはほとんど言葉がなかった。
ただ、歩幅を合わせるたびに、鼓動の音だけが重なっていた。
部屋に入る。
ドアが閉まった瞬間、沈黙が一気に濃くなる。
祐奈はバッグを床に置き、ゆっくりと祐介の方へ向き直った。
頬は赤く、唇はかすかに震えている。
「……ほんと、私……どうかしてるよね」
小さな声が落ちる。
祐介は答えられず、ただその視線を受け止めた。
理性が何かを言おうとしても、膨れ上がったリビドーがそれを押し流していく。
祐奈は一歩近づき、祐介の胸に額を預ける。
「……でも……止められない」
その言葉と同時に、祐介は彼女を抱き寄せていた。
「……もう止められない」
祐介は低く囁き、祐奈の尻をぐっと掴んだ。
祐奈は一瞬身を震わせ、そして決意したように祐介の腰へ手を伸ばす。
ジーパンのチャックをゆっくりと下ろす音が、静かな部屋にやけに響いた。
「……祐奈……」
祐介の声は掠れている。
彼女は顔を赤らめながらも、そのまま手を差し入れ、熱を確かめるように握りしめた。
「……すごい、硬い……」
手のひらが上下に動く。
一度。
二度。
三度。
その瞬間、祐介の全身が硬直し、声にならない吐息がこぼれた。
「……っ……!」
どうしようもなく溢れた熱は、祐奈の手を抜け、彼女のワンピースへ飛び散った。
薄い布地にじわりと染みが広がり、淡い色を濡らしていく。
「……っ……あ……」
祐奈は目を見開き、頬をさらに赤くする。
自分のワンピースに落ちた背徳の痕跡を見下ろし、唇を噛んだ。
「……もう……出ちゃったの?……」
祐介は答えられず、ただ荒い呼吸を繰り返す。
祐奈の手のひらにも、布にも残った温かさが、すべてを物語っていた。
「……ばか……」
祐奈は小さく笑い、けれど声は震えていた。
「……私の服まで……汚して……」
羞恥と快感と背徳が混ざり合い、ホテルの小さな部屋を熱で満たしていった。