内閣支持率調査 上がらぬ野党支持率を正面から受け止めよ | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

内閣支持率調査 上がらぬ野党支持率を正面から受け止めよ

先週の安保関連法の衆院通過を受け、マスコミ各社が世論調査を行い、軒並み内閣支持率が下落と報じています。支持率3割を切れば危険水域とされるものが見え始めたとの論もありますが、一方で、政党支持率にはさほどの変化はなく、自民党の圧倒的第一党はそのままです。野党第一党である民主党の支持が、誤差程度しか上がっていないことをまともに受け止めなければ、仮に安倍政権が退陣したとしても、自民党が得意な「疑似政権交代」によって新しい総裁が誕生すれば、自民党政権は安泰です。

 

民主党は、安保関連法案に徹底抗戦し、廃案を目指すとしています。憲法違反との指摘を受け、十分な国民理解も進んでいない中、強行採決をしたことへの批判は当然でしょう。一方で、2010年頃以降から、中国の海洋侵出は著しく、北朝鮮の無秩序で勝手な態度や、アメリカ軍の財政制約など、日本の外的環境は大きく変化しているのも事実です。これに、何らかの手当てが必要だとの世論は根強く、「廃案を目指す」とする民主党の主張は、一般市民からすれば「ここで何もしないのか?!」と解釈されかねません。勿論、対案として領域警備法を提出し、PKO法、周辺事態法の改正案を準備したことは、当然承知をしています。しかし、国民にその思いは伝わっておらず、まるで昔の社会党を見ているような気になったのは私だけではないはずです。「自民党って感じ悪いよね」なんてプラカード掲げた議員がいましたが、「強行採決反対」くらいまでならお役目としてやむを得ないとしても、ネット社会でつぶやかれている意味不明な言葉を、国民の代表である国会議員が掲げているのは、寒い思いです。安倍政権への反対や自民党への批判を声高に叫ぶだけでなく、民主党は、もっと前向きなメッセージを国民に発せねばなりません。

 

野党は、数の上で少数だから政権の座にないのです。最終的には多数でモノを決める議会の構造上、法案審議、議決の場では負けるわけで、負けることを前提に、しかし果実を取る作戦をとらなければいけないと思います。その意味では、領域警備法の提出は評価すべきと書きましたが、審議が100時間近く経ったところでの提出とは、アリバイ作りだったのではないかと指摘されても仕方ありません。こうした一連の行動が、内閣支持率が低下しながら、民主党の支持がほぼ変わらない、微増に留まっている原因ではないかと思います。

 

更に言えば、民主党には未だ、「政権交代をして失敗した」と国民に思われています。そうした評価を「マスコミに作られた不当な評価だ」と言っている限り、支持の回復はないと思います。もちろん、政権交代によって成果を出せたことが相当数あることも事実です。ただ、内部分裂を引き起こし、実現できなかった政権公約が多かったのも事実です。こびりついたイメージを払しょくするためには、その決意が外に見える形でないといけません。私はこれまで幾度も、党名変更、それが無理ならせめてロゴマークの変更を行い、これまでの民主党の失敗を総括しながら、次なるステップへ踏み出す決意を国民に示すべき、と主張してきましたが、全く聞き入れられませんでした。改革政党の旗印を(特に関西では)維新に奪われてしまい、今やリベラル(これ自体は悪くない)しか振る旗がないように見える民主党から、再び改革の意欲と国民の信託を受ける政党へとフルモデルチェンジするためには、今のままではダメと感じている民主党員は、私だけではないはずです。

 

民主主義国家には、健全な二大政党制が理想形であると私は今も思っています。アメリカやイギリスのように、国民の分断(民族、階層、地域)が極めてない我が国において、二大政党制は根付きにくいとの指摘はあります。ましてや、自らを保守政党とする自民党は、世界の保守政党の中でも社会保障政策に相当手厚い施策を積み重ねており、これに対抗するもう一つの軸を作るのは、確かに至難の業です。しかし、それを乗り越えたもう一つの軸を構築することでこそ、日本の民主主義は健全に機能します。安保法案の対応は、その機能の一翼をもう一度民主党が担えるかどうか、試される最後の機会です。参議院での審議が始まりますが、用意できている法案はしっかりと提出し、審議に臨み、少数であることを自覚しながら、果実を取る作戦に出てもらいたいと心から思います。