広島・長崎への原爆投下から69年 日本の責務は核兵器廃絶に邁進すべき | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

広島・長崎への原爆投下から69年 日本の責務は核兵器廃絶に邁進すべき

■日本には、核廃絶を実現させる責務がある
今年も、8月6日の広島、9日の長崎への原爆投下された日を迎えました。69回目の夏です。一発で破滅的な被害へと導く核兵器が、現在、地球上に16,000発以上も存在する事実は極めて重いと言わざるを得ません。米ソの冷戦終結以降は核兵器の数自体は減少傾向にありますが、拡散傾向は続いています。核不拡散条約(NPT)によって核保有が認められた米露中英仏五か国以外にも、核兵器を保有するとされているインド、パキスタン、北朝鮮やイスラエルなどがあり、イランやシリアはこれまでに核開発の疑いがある国とされてきました。核兵器の非人道性を一番わかっているはずである唯一の被爆国である日本には、核兵器廃絶に向けた重大な責務があると考えています。

■“核の傘”故のもどかしさと、世界の変化の兆し
第二次大戦後の日本は、いわゆるアメリカの“核の傘”に入ってきました。日米安保条約を基軸とすることで、アメリカに防衛を依存する一方、アメリカに基地を提供することなどしてきました。そして、自国では核を持たずに、他国の核の脅威に対抗してきました。一方でそのことが、被爆国でありながら核兵器廃絶に向けて積極的な役割を果たせずにいる要因となっています。過去二年間に四回開催された核を巡る国際会議の場で、核の非人道性に関する共同声明が提案されてきましたが、日本は四回目になってやっと賛同する立場を表明しました。 “核の傘”に依存している故のもどかしさ、と言うよりありません。
ただ、核の傘を提供してきたアメリカにも、変化の兆しが見え始めています。2009年4月のオバマ大統領によるプラハでの演説は、核なき世界実現に向けて唯一の核使用国であるアメリカ首脳の決意を示したものとして評価され、ノーベル平和賞の受賞へとつながっています。一進一退の部分もありますが、プラハ演説が契機となり核セキュリティサミットも開催されるようになり、核が「厄介者」であるという認識は、広がりつつあります。

■核兵器誤用の現実的恐怖を想起させるマレーシア機撃墜事件
地球上に相当な数の核兵器がありながらも、69年間、実際に核兵器が使用されたことはありません。これは、とにもかくにも核兵器がそれなりに適切に管理されてきたとも理解できます。ただ、今後を考える上で恐ろしい事態を想起させる事故が、昨今発生しました。ウクライナ上空を通過していたマレーシア機の撃墜事件です。この事件は、ウクライナ政府と対立する親ロシア派が、民間航空機を地対空ミサイルで誤射してしまったとされています。地対空ミサイルは、ロシア軍から提供されたものということですが、これだけのハイテク兵器が、反政府組織の手に渡ってしまっているのです。これが核兵器であったらどうなるでしょうか。核兵器が正常に管理されていれば、抑止力として効果が期待されると言いますが、管理不行き届きで不正常な使用をされてしまえば、その被害は恐ろしく甚大です。核兵器のリスクをなくすには、核兵器そのものを地球上からなくすしかありません。
ちなみにウクライナ自体は、現在は核保有国ではありません。“現在は”、と言うのは、ウクライナは以前には世界第三位の核保有国であった時があります。ソ連崩壊直後の1991年には、5000発の核兵器を保有していましたが、それらを放棄ないしロシアに移管し、自主的に非核国となっています。もし今、ウクライナに核兵器があればどうなっていたでしょうか。もしウクライナの核兵器が、混乱の中で反政府軍などの手に渡っていたら、どうした事態となっていたでしょうか。大変に恐ろしい事態をも想起されます。

■核廃絶に向けて、一気に山を登りきろうと考えずに一歩一歩進む
私は、日本が核兵器廃絶に向けて積極的な役割を果たすべきだと考えています。道のりは長く、そのゴールは果てしなく遠いように思いますが、千里の道も一歩から、何よりも行動することと考えます。具体的にはまず、原子力発電や研究用由来の核物質への対応をしっかりと行うことです。特に兵器転用が可能なプルトニウムの取り扱いについては、国際社会に疑念を抱かれないようにせねばなりません。日本は今、使用済み核燃料の再処理路線がほぼ頓挫し、使用見込みのないプルトニウムを約45トン、長崎型原発にして5000発分を所有しています。これの適切処理がまず重要です。
そして、北東アジア非核化戦略、朝鮮半島の非核化に向けて動くことです。今の北朝鮮政府体制では、非核化など到底実現しなさそうですが、何らかの形で今の朝鮮半島の秩序が大きく崩れる可能性は大いにあり得ます。その時に向けて、頭の体操はじめ準備は怠りなく進めるべきと考えます。
また、新興国を中心に新たに原子力発電を導入するケースが広がっていますが、発電に伴って発生する使用済み核燃料の保管、処理に関しても、日本の持てる知見を他国に供与し、世界全体のセキュリティを高めることも重要です。
さらに、国際会議での核兵器廃絶に向けた決議への積極的貢献を果たし、核保有国へのプレッシャーをかけ続けることです。核兵器は、明らかに人道に反した兵器であり、維持管理に莫大なコストもかかり、実際に使用する可能性がほぼ皆無であり、大変な厄介者であると、国際社会もそう認識し始めています。化学兵器やクラスター爆弾のように、核兵器も人類の意志によって絶滅させることができる。私はそう考えています。
核廃絶という山は、エベレストに上るような難題です。一気に登りきろうと考えずに、まず六甲山、富士山、それから世界に出てエベレストを目指すように、登っていく、私も力を尽くしたいと思います。