年金問題に正面から取り組むべし | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

年金問題に正面から取り組むべし

国民年金の納付率は実質4割!
厚生労働省の発表によると、平成24年の国民年金納付率は59%とされています。この数字を、まず皆さんはどう思うでしょうか。払うべき人の10人のうち6人未満しか払っていない制度であり、制度の存続が大変心配されます。しかし、実質はこの59%よりもさらに厳しいものです。というのが、国民年金の制度には、一時的に所得が少ない人(学生等)は支払いを免除もしくは猶予されることがあります。こうした方々を勘案すると、国民年金の納付率は4割にしか達しません。厚生労働省は現在猶予者の214万人が将来的に追納(10年以内)することを前提として59%という数字を出していますが、今の年金支払いに苦労している人が、まとめて数年分の支払いをするとは考えにくいものです。
国民年金は、農業や自営業者、学生を対象とした制度ですから、多くの給与所得者は厚生年金(公務員は共済年金)であるため、直接関係がないとお考えの人も多いかもしれません。しかし、基礎年金部分に関しては国全体としては一緒です。その理解で考えると、国全体の年金未納者は892万人、13%にものぼる数です。これだけ収めていない人がいて、制度が成り立つはずはありません。

5年に一度の財政検証で臭いものにフタをしない
政府は6月に、5年に一度の財政検証をしました。いわゆる「100年安心の年金プラン」の裏付けをするための作業でした。前回、2009年に発表された財政検証では、運用利回り4.1%、賃金上昇率2.5%、国民年金納付率80%といった、現実離れした数字を置いた試算となり、批判の対象となりました。今回2014年の試算では、標準ケースや悲観的ケースなど含め8パターンを公表し、前回ほど楽観的な前提ではない数字を置いています。ただ、これまた楽観的と言わざるを得ません。一番楽観的なケースAでは、物価上昇率が+2.0%、賃金上昇率が2.4%としており、一番悲観的なケースHですら、物価上昇率が+0.6%、賃金上昇率が+0.8%などとしています。過去5年間デフレ下にあった中で、一つもゼロ成長の計算すらできていないのは、首をかしげます。この検証に関し、それなりに報道はされましたが、私たちの未来を考えると大問題中の大問題です。政治の役割は大きいと言わざるを得ません。

極論と水掛け論の政治責任は大きい
年金改革は、民主党政権に大きく期待された分野でした。3年3か月の間に、その一部しか改革が成し遂げられなかったのは、悔やんでも悔やみきれません。私たちが政権にあるとき手を付けることが出来たのは、消えた年金問題への対応、年金資金の流用防止、さらには共済年金と厚生年金の統合などが実現できました。ただ、本丸にまでたどり着けなかったのも事実です。これには政治の責任は大きいと思います。
2009年の財政検証発表時に、政権交代前の民主党議員が、時の舛添厚労大臣に「粉飾の試算だ! 年金破綻を認めろ!」と厳しく迫りました。それに対し舛添大臣は「あくまで試算であり、粉飾でなく、100年安心は変わりない。」と強弁を続けました。一方、政権が交代して立場が変わると、野党時代の自民党議員が「年金が破たんすると言っていたあなた方のおかげで、年金不信が高まっている! 年金は破綻しないとはっきり言え!」と詰め寄られ、民主党政権の厚労大臣が「年金は破綻していません。100年安心です。」と言ってしまうことがありました。“破綻”という単語がきついのですが、制度設立当初の見込みが「破綻」しているのは間違いなく、何らかの手当は絶対にされねばなりません。政治家のメンツはどうでもよいので、国民本位の改革に向けて歩み出す時です。