中韓首脳会談の先に、朝鮮半島統一の日をイメージする | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

中韓首脳会談の先に、朝鮮半島統一の日をイメージする

集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更や、北朝鮮への制裁解除など、大きな動きが続きます。その中で注目なのが、中国の習近平国家主席が韓国を訪問し、朴槿恵大統領と中韓首脳会談が行われました。中国の国家主席が、就任後に北朝鮮より先に韓国へ出向くことは初めてのことで、これは大きなインパクトです。日本のメディアでは主に、中韓で歴史検証を共有することが日本に対するけん制として共同声明に盛り込まれたとか、朝鮮半島の非核化問題や中韓FTAに向けて動きを加速させることなどが報道されていますが、私は少し別の角度から注目をしています。

まず、経済面で両国にとって互いは大切なパートナーです。貿易の内訳をみても、韓国の輸出先は、第一位がダントツで中国(24.5%)、次にアメリカ(10.7%)、日本(7.1%)、香港(6%)、シンガポール(4.2%)と続きます(2012年)。逆に中国の輸出先としては、香港(17.4%)、アメリカ(16.7%)、日本(6.8%)に続いて韓国(4.1%)は四番目に来ます(2013年)。韓国にすれば、中国は韓国経済にとって欠かすことのできない大きなマーケットです。

ただ、それでも中国と北朝鮮は、親子関係のような鉄の同盟があったと思っていたので、中国が北朝鮮との関係よりも韓国とを優先させるとは、考えもしませんでした。ただ、こうした考えは、過去のことになるかもしれないと、今回の首脳会談を見ていて感じました。これは、本当に勝手な憶測ですけども、私たちが生きている間に、きっと南北朝鮮が統一される日が来るのではないかと考えています。朝鮮半島は、三十八度線を隔てて南北分断の国家となっているだけでなく、米ソ冷戦時代には双方の最前線として対峙してきた地域です。その後、冷戦の終結から中国の台頭へつながり、朝鮮半島は米ソに代わりG2(米中)の最前線の様相かと思われていましたが、環境は徐々に変化をしてきました。

ここから先は「if」の話ですが、もしも南北朝鮮が統一されたらどういう東アジアの力関係になるでしょうか。韓国が西ドイツのように全土統一をするということになれば、アメリカの同盟国である韓国が中国と陸続きで国境を接する、ということになります。中国とアメリカの間に立って、韓国がどういう立ち位置をとるか、それによって日本と在日米軍のプレゼンスのあり方も、相当変わってくるでしょう。

韓国にとって、北朝鮮との統一は大変な経済的な重荷となるため、必ずしも世論は賛成一色ではないようです。しかし、ベルリンの壁のようなことが起きたとき、分断された民族を統一させるチャンスがあったなら、そのチャンスを避けることも考えにくいものです。そうなると、人口7000万の、未開の地下資源が多く眠ると言われる地域を抱えた、潜在的成長余力を持った大きな隣国がうまれることになります。これを、敵対的アプローチで迎えるシナリオは、日本にとって賢い選択ではないと思いますし、歴史を乗り越えて経済協力を進めることが、東アジアの真の安定につながると思います。

ずいぶん、妄想めいた話にまで展開しましたが、今回の中韓首脳会談は、そんなことまで思いを馳せさせる、本当に大きなインパクトでした。いつかくる、「その日」に向けて、イメージをさらに膨らませたいと思います。