田中文科大臣の3大学設置不認可 前向きな化学反応を期待したい | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

田中文科大臣の3大学設置不認可 前向きな化学反応を期待したい

田中真紀子文部科学大臣が、文科省の大学設置・学校法人審議会が認可を答申していた3大学の認可につき(秋田公立美術大、札幌保健医療大、岡崎女子大)、不認可としました。一言でいえば、乱暴ではありますが、田中大臣ならではの乱暴さが、誤解を恐れずに言えば、前向きな大学改革議論を巻き起こす契機になると、期待したいと思います。
 
私自身、先日まで党の大学改革ワーキングチームの事務局長として、鈴木寛座長と共に、社会に役立つ大学への脱皮のための答申をしてきました。少子化時代に、いまのままの大学ではいけないという問題意識は、誰もが共有しているところです。他国では、大学の社会人入学が相当多いのですが、わが国の大学入学者は、そのほとんどが高校卒業直後の学生です。別の言い方をすれば、他国では大学が社会人にとってキャリアアップの機関となっていますが、日本では社会人が大学に行くことにより、就業機会が増えたり、給与が上がったりすることは稀です。その割に、昔ながらの大学が杓子定規な規定で守られ続け、時代の流れに沿った発展を遂げて来たとは言い難い面もあります。
 
一方で、大学の設置要件が満たされれば、その必要性が判断されることなく、許可され続けてきました。少子化であり、社会人ニーズも増えないながら、大学の設置認可だけは次々なされる状況に、私自身も違和感を抱いていたのは事実です。理想と現実の中で、どう収束するか、特に歯学部や薬学部の飽和状態、法科大学院の状況を鑑みるに、国として指針を示すことが十分にできていないことに、歯がゆさを感じていました。
 
今回の田中大臣の判断は、設置認可を当然として進めてきた3大学にとって、かなり困った事態ではないかと思います。認可を見越して進路を考えてきた学生にとっても、大問題であると思います。一方、大学政策が今まで通りであることに警笛を鳴らしたという点で、田中大臣の件は、一つの大きな議論のきっかけとなると思います。
 
一方で、私は田中大臣の発言、行動をすべて評価するものではありません。グローバル時代の対応として秋入学を進めようとする田中大臣の姿勢は、パフォーマンスの域を出ているように思いません。グローバル化を進めるには、海外大学との単位互換や交換留学を進めた方が、よっぽど現実的と、私や文部科学省は考えてきましたしこれまでの政策もその方向で進めてきました。本件に関し、東大や田中大臣がいくらモノを言おうとも、考えの違うものを、無理にサポートはできません。
 
考え方の違い、アプローチの違いはありますが、今回の大学の不認可に関する一件、わが国の大学教育にとって前向きな議論となることを期待したいと思います。


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