社会保障と税一体改革に関する党内合意について | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

社会保障と税一体改革に関する党内合意について

19日、台風が首都東京を直撃する中、党本部において社会保障と税の一体改革関連法案につき、原案を三党合意にかけ修正したものの党内審議が行われ、最後は前原政調会長への一任となりました。ただ、報道等でご承知の方もあると思いますが、最後の了承取り付けが強引であったことは残念なことです。残念ですが、やむを得なかったとも思います。本件に関して、私の思うところを記したいと思います。

党内の役員会等で議決するプロセスへと改正すべき
この手の重要で議論百出の法案では、全議員が100%の満足を得られることは相当至難の業です。ほぼ不可能です。
政権交代直後は、私のようなヒラの議員は、政府と合同の政策会議なるもので意見を述べるに留まりました。そうした反省から、今の体制では、政策に関しては政調会長の下に党内の了承を取り付けることとし、私たちも各部門会議で法案の賛否について意見することが出来るようになりました。民主的であり、無役職の議員の意見も反映されることはすばらしいことですが、どこまで行っても反対の意見がある場合は議論が収束しないこともあり、悩ましい一面も露呈していました。この状態が、ある意味で一番悪い形で顕在化したのが今回の一任です。今後は、党の組織改革をして、全議員でなく役員会か常任幹事会において、多数決での法案決定をするなど、ガバナンスの明確化をすべきです。一般の企業などでは、取締役会での議決は当然あるもので、全社員の議決をとるような組織はほとんどないはずです。今後は今回の反省を活かし、最後は議決、これが一番すっきりします。
一方で、今回の法案審査に際し、両院議員総会を開催して全議員の議決をすべき、という意見もありました。所属議員の1/3以上が署名をしましたから、相当な勢いです。ただ、私自身は署名をしませんでした。というのが、いくら大きな法案とは言え、現行の党規約では、両院議員総会で政策を議論する前提になっておりません。普天間の辺野古移設を再決定したことも大きな転換でしたが、両院総会を開催されることはありませんでした。良し悪しさておき、その時々の政策は、その時々のガバナンス規定に沿わなければ、それこそ組織はまわりません。ただ、この期に至った以上、党の全議員が、懇談会等で今の党運営全般に対し、意見を言う機会があってもいいと思います。

「賛成」する理由
尚、私は本案に賛成する意向です。私をご支援いただく方でも、「増税の前にやるべきことがある」「今がその時期ではない」「まだ日本には余力がある」「マニフェスト違反だ」等々、ご批判もありますし、もう応援しない、という方もおり、誠にショッキングです。野田政権や民主党の支持率を見ても、必ずしも消費税増税に対する国民理解が十分浸透しているとは言い切れない状況です。そして、三党合意を見て、民主も自民も一緒ではないか、というご批判もわかります。それでも尚、なぜ賛成するか。
それは、時が過ぎて今回の採決結果を振り返った時に、私が議会でどのような議決結果をとったか、というのが問われる時が来ます。もちろん、今も問われますが、将来にどう評価されるか、という観点で判断したいと思います。
「マニフェスト違反ではないか」「党内プロセスが稚拙」と言われる意味はわかります。「党を二分すべきではない。結束を維持すべきだ」と言われる気持ちはすばらしいものです。ただ、それは民主党の問題であり、日本国全体の問題ではありません。私たち自身が、この点で批判を受けて次の選挙で支持を失うことにはなるかもしれませんが、それは私たちが甘んじて受け入れるべきもので、問題の本質とは次元が違います。
「今がその時期ではない」「我が国にはまだ余力がある」と言われる意味もわかります。ただ、いつかやらねばならぬ課題であるなら、やれるときにやるべきです。今、完ぺきではないにせよ、ここまで野田総理が煮詰めるに至ったものを、破棄するほどの材料を私は見つけることが出来ません。

最後に、前原政調会長について。少々挑発的な発言もあり、100点満点の対応でなかったかもしれませんが、今回は十分に、手続きに決定的な瑕疵はなく、この法案をとにもかくにも一任を取り付けられたと、私なりに評価しています。特に、後期高齢者医療制度を廃止するための法案を今国会での提出確約を迫る厚生労働部門会議の議員に対し、理路整然と、叱責のような反論をしたことは印象的でした。確かに、後期高齢者医療制度の廃止はマニフェスト事項ですし、年齢による差別を助長しかねないことは改善すべきです。ただ、民主党がまとめた改善案は、知事会から理解を得られておらず、提出できる環境にありません。その状況を踏まえて前原政調会長が、「厚労部門会議の皆さんも、福祉の充実を訴えるのはいいが、打出の小槌があるわけではない。福祉にも効率化すべきところがあるはずで、後期高齢者制度の廃止法案も知事会に理解を得られるものにする努力をせねばならぬ。そうした観点が欠落して要求ばかりするのは与党のとる立場ではない。」と言われました。確かに、私は文部科学部門会議ですが、こうした部門では、「もっともっと」と要求しがちな姿となっています。この発言は、国政全体を考えるのが国会議員ですから、真摯に受け止めねばならないと思いました。

さて、もうしばらく政局的に荒れてしまいそうです。民主党のあり方、今の政党枠組みのあり方、ガバナンスのあり方等々含め、国家国民の視点に立ち、私の信ずる道に沿って頑張ってまいりたいと思います。