衆議院選挙制度改革 座長私案なら可能性あり! | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

衆議院選挙制度改革 座長私案なら可能性あり!

今週も、衆議院の選挙制度改革についての議論が行われています。先週、わが党の政治改革推進本部役員会において、各党協議会の座長を務める樽床幹事長代行が私案という形で、次の提案を示したのは報道でご承知の通りと思います。

その内容は
●一票の格差是正のための小選挙区区割り改変、0増5減
●衆議院比例代表定数の80削減
●比例削減のうち、過度な民意の集約とならないよう配慮する。(一部連用など)
●次々回以降の選挙制度を抜本的に論ずるため、次期総選挙後に第9次選挙制度審議会を立ち上げる

というものです。一部は私が表現を変えていますが、意味はそういうことです。

さてそこで、一部の政治家やメディアから、この私案や連用制に対して、批判や懸念が表明されています。こうした批判や懸念は、座長私案のように「一部連用制」にする、もしくは連用制を「一部」にとどめるのであれば、全くの誤解である、制度の工夫によって乗り切れるものと思っています。以下、主な批判や懸念について、私の考えを記します。

尚、前提となる制度設計は、小選挙区300(ないし295)のままで、比例は並立と連用の組み合わせ(だいたい半数ずつと考えた場合)としています。

Q.小選挙区に二種類の比例代表を組み合わせるなど、理念がない。
A.我が国の現行衆議院選挙制度は、小選挙区300、比例180の並立制ですが、その目指すところは、小選挙区によって民意を集約し、安定した政権を作り、同時に、比例代表によって多様な民意を反映する、「政権選択を主軸とした、穏健な多党制」を志向するものです。改正案も、制度設計によって、現行制度と同じ「政権選択を主軸とした穏健な多党制」を志向する理念は共有することになります。その上、比例定数の削減も実現する案です。さらに言えば、連用制要素を入れることにより、これまでの比例代表並立制よりも民意の集約度合いが弱まり、より正確に民意が反映されることとなります。

Q.この制度は、ひとつの選挙か、ふたつの選挙か、わかりにくい。
A.小選挙区に、並立と連用を組み合わせた、ブロックを単位としたひとつの選挙と理解できます。比例が連用制のみであればクロスボーティングの懸念がありますが、座長私案に沿って制度設計をすれば、有権者が比例票で示した民意が一定程度反映されるとともに、小選挙区の選挙結果の補正も期待でき、結果として「政権選択を主軸とした、穏健な多党制」を志向することになります。有権者は、今まで通り投票することで、自動的に結果が補正されるということで、わかりにくいという懸念はあたりません。

Q.憲法に抵触するのではないか、との指摘がある。
A.憲法14条を根拠とした投票価値の平等に関する指摘は全く当たりません。この条文を根拠とする指摘は、小選挙区の区割りによって生ずる選挙区間の人口差を問題視するもので、全く別次元の話です。一方で、並立部分がなく連用制のみの比例制度であれは、小選挙区第一党への比例票が全く議席に反映されないことが確かに懸念されるところですが、座長私案の含むところでは、並立制部分によって第一党であっても一定程度議席に反映をされることから、特に投票価値の平等に抵触するものとは考えられません。また、本提案に対し、制度が複雑だということで、15条を根拠とした国民の投票に際する権利に対する侵害を指摘する声もありますが、これも有権者の判断が相応に議席に反映されることから、指摘はあたりません。各国では、比例の配分方法については様々な工夫がされており、座長私案に沿った制度も、掲げる理念に沿った上で、憲法47条に示された国会の裁量権の範囲内の工夫と考えられます。

Q.連用制の一部導入で小党が乱立するとの批判がある。
A.連用を仮に50議席とした場合、いずれかのブロックで約30万票を得られなければ連用制といえども議席を確保できません。仮にブロックを拡大したとしても、その際は阻止条項を設けるなどして、懸念には対応はでき、小党が乱立することにはつながりません。

Q.連用制を一部でも入れると、政治が安定しない。
A.上記設問の回答と一部重なりますが、仮に連用を100のうち50とした場合、第一党は比例で並立部分を中心に20~30の議席獲得が見込めます。これまで、小選挙区300議席のうち、第一党が少なくとも170程度獲得することから、結果として連用の組み合わせをしても、現行制度よりも不安定になるということはありません。

以上、こうして批判や懸念を検証しますと、それらが現行の並立部分を全部連用制にしてしまう場合にあてはまるもののみです。これが一部の組み合わせであれば、ほぼ問題点はクリアーします。

定数削減は、必ず成し遂げなくてはなりません。知恵を絞れば、各党にも一定のご納得をいただいたうえで、成案が得られると確信しています。