衆議院選挙制度改革私案 選挙区と比例を同比率で削減し426に
懸案の衆議院の定数削減、一票の格差是正に関し、現行制度の趣旨・特性を踏襲した上で、各党合意の可能性が高い制度として、「小選挙区34議席減、比例20議席減、合計54議席減の総定数426議席」の改正案を私案として提示致します。
国会議員の定数削減は、消費増税など国民の皆さんに負担をお願いする上で前提となるものです。また、2009年の総選挙に対し、最高裁判所が一票の格差に対して「違憲状態」と示していることからも、制度改正は不可避ですし、仮にこのまま総選挙が実施されれば、当該選挙区の結果そのものが違憲、無効とすらなりかねない状態です。
一方で、民主党が掲げる「衆議院定数80削減」は、比例の議席のみを対象としています。民主党や自民党はいわゆる二大政党ですから、300の区割りが確保されていればそう党勢に影響はないでしょうが、公明党や共産党をはじめとした中小政党にすれば、比例の議席減のみを進める改革を受け付けることは相当困難と推察されます。議席を減らすならば、大政党も小政党も、等しく厳しい条件を受け入れるべきですし、小選挙区選出の議員も直接的な影響を被る覚悟を持つべきです。
現行並立制下の小選挙区と比例代表の議席配分は、まさに民主主義のバランスそのものと言ってよく、仮に定数減をするにしても、小選挙区と比例代表が同じ比率で減少されるべきで、その方が各党に理解されやすいはずです。相撲に例えれば、丸い土俵を楕円形にしてしまうのでなく、せめてまあるい円のまま、小さくすることで理解を得るべきと考えます。
以下に、衆議院選挙制度改革案(登志郎私案)についての考え方、各県およびブロックごとの議席配分案について示します。マニフェストに掲載されている「80減」には届きませんが、制度の特性を維持したうえでの考え方として、皆様の忌憚ないご意見をぜひともお願い申し上げます。
衆議院選挙制度改革(私案)考え方
衆議院議員 石井登志郎
●定数削減は国民との約束である。
●一票の格差是正に関し、最高裁が違憲状態と判決。その主因は「都道府県一議席基礎配分」である。故に、定数削減の約束とあわせ、小選挙区数も聖域なく減少させるべきであるし、そのことで各党の合意を得るべきである。
●素案として、47都道府県に基礎配分されている各1議席を減らし、定数253とする。すると、鳥取、島根、高知、徳島の4県が定数1となり、参議院議員の定数よりも少なくなってしまい、地方の声がとどかないとの懸念がある。また、最大較差も1.9484(徳島/福井)と拡大してしまう。【A案(下記試算欄④)】
●よって、これらを是正するために、追加議席を認めることとする。基準は、最大人口である東京都(定数26【1増】)の一議席あたり平均人口(506,130人)を上限とし、上限人口を上回らないように各県に追加議席を与える。すると、総定数は274、都道府県間の最大較差は1.7196(東京/鳥取)となる。【B案(下記試算⑤)】
●さらに考えられるのは、東京の定数増加を認めず、東京の平均人口を上限として配分する案である。そうすると、東京の平均人口は526,376人となり、総定数は266、最大較差は1.7884(東京/鳥取)となる。【C案(下記試算⑥)】
●小選挙区をそれぞれ274と266とした場合、同じ比率で比例代表も削減したとすれば、164、160となり、総定数はB案で438(42議席減)、C案で426(54議席減)となり、80議席の削減というマニフェストの目標には届かないものの、制度の理念を維持していることから、各党が合意に至る可能性もあり、国民の一定の理解を得られる。
●なお、各ブロック間における定数を平準化にするため、①山梨を北陸信越ブロックに移入 ②中国と四国ブロックの統合 ③北海道と東北ブロックの統合も検討する。
以上
※本私案によって定数を小選挙区266とすれば、33道府県で34議席減(大阪のみ2減)となり、増加都道府県は0となる。選挙区・比例区通じてほぼ等しく議席減の影響を受け、最高裁の要請にも応えるものである。
(参考:試算結果)
平成22年国勢調査【確定値】による定数是正試算
東京都 ①13,159,388②25③27④26⑤26⑥25⑦526,376
神奈川県①9,048,331②18③19④18⑤18⑥18⑦502,685
大阪府 ①8,865,245②19③18④17⑤18⑥17⑦521,485
愛知県 ①7,410,719②15③16④15⑤15⑥15⑦494,048
埼玉県 ①7,194,556②15③15④14⑤15⑥14⑦513,897
千葉県 ①6,216,289②13③13④12⑤13⑥12⑦518,024
兵庫県 ①5,588,133②12③12④11⑤12⑥11⑦508,012
北海道 ①5,506,419②12③12④11⑤11⑥11⑦500,584
福岡県 ①5,071,968②11③11④10⑤11⑥10⑦507,197
静岡県 ①3,765,007②8 ③8 ④7 ⑤8 ⑥8 ⑦470,626
茨城県 ①2,969,770②7 ③7 ④6 ⑤6 ⑥6 ⑦494,962
広島県 ①2,860,750②7 ③7 ④6 ⑤6 ⑥6 ⑦476,792
京都府 ①2,636,092②6 ③6 ④5 ⑤6 ⑥6 ⑦439,349
新潟県 ①2,374,450②6 ③6 ④5 ⑤5 ⑥5 ⑦474,890
宮城県 ①2,348,165②6 ③6 ④5 ⑤5 ⑥5 ⑦469,633
長野県 ①2,152,449②5 ③5 ④4 ⑤5 ⑥5 ⑦430,490
岐阜県 ①2,080,773②5 ③5 ④4 ⑤5 ⑥4 ⑦520,193
福島県 ①2,029,064②5 ③5 ④4 ⑤5 ⑥4 ⑦507,266
群馬県 ①2,008,068②5 ③5 ④4 ⑤4 ⑥4 ⑦502,017
栃木県 ①2,007,683②5 ③5 ④4 ⑤4 ⑥4 ⑦501,921
岡山県 ①1,945,276②5 ③5 ④4 ⑤4 ⑥4 ⑦486,319
三重県 ①1,854,724②5 ③5 ④4 ⑤4 ⑥4 ⑦463,681
熊本県 ①1,817,426②5 ③5 ④4 ⑤4 ⑥4 ⑦454,357
鹿児島県①1,706,242②5 ③4 ④3 ⑤4 ⑥4 ⑦426,561
山口県 ①1,451,338②4 ③4 ④3 ⑤3 ⑥3 ⑦483,779
愛媛県 ①1,431,493②4 ③4 ④3 ⑤3 ⑥3 ⑦477,164
長崎県 ①1,426,779②4 ③4 ④3 ⑤3 ⑥3 ⑦475,593
滋賀県 ①1,410,777②4 ③4 ④3 ⑤3 ⑥3 ⑦470,259
奈良県 ①1,400,728②4 ③4 ④3 ⑤3 ⑥3 ⑦466,909
沖縄県 ①1,392,818②4 ③4 ④3 ⑤3 ⑥3 ⑦464,273
青森県 ①1,373,339②4 ③4 ④3 ⑤3 ⑥3 ⑦457,780
岩手県 ①1,330,147②4 ③4 ④3 ⑤3 ⑥3 ⑦443,382
大分県 ①1,196,529②3 ③3 ④2 ⑤3 ⑥3 ⑦398,843
石川県 ①1,169,788②3 ③3 ④2 ⑤3 ⑥3 ⑦389,929
山形県 ①1,168,924②3 ③3 ④2 ⑤3 ⑥3 ⑦389,641
宮崎県 ①1,135,233②3 ③3 ④2 ⑤3 ⑥3 ⑦378,411
富山県 ①1,093,247②3 ③3 ④2 ⑤3 ⑥3 ⑦364,416
秋田県 ①1,085,997②3 ③3 ④2 ⑤3 ⑥3 ⑦361,999
和歌山県①1,002,198②3 ③3 ④2 ⑤2 ⑥2 ⑦501,099
香川県 ①995,842 ②3 ③3 ④2 ⑤2 ⑥2 ⑦497,921
山梨県 ①863,075 ②3 ③3 ④2 ⑤2 ⑥2 ⑦431,538
佐賀県 ①849,788 ②3 ③3 ④2 ⑤2 ⑥2 ⑦424,894
福井県 ①806,314 ②3 ③3 ④2 ⑤2 ⑥2 ⑦403,157
徳島県 ①785,491 ②3 ③2 ④1 ⑤2 ⑥2 ⑦392,746
高知県 ①764,456 ②3 ③2 ④1 ⑤2 ⑥2 ⑦382,228
島根県 ①717,397 ②2 ③2 ④1 ⑤2 ⑥2 ⑦358,699
鳥取県 ①588,667 ②2 ③2 ④1 ⑤2 ⑥2 ⑦294,334
全国 ①128,057,352 ②300③300④253⑤274⑥266⑦481,419
最大較差
現行(試算欄②) 2.0657倍 東京/高知
A案(試算欄④) 1.9484倍 徳島/福井
B案(試算欄⑤) 1.7196倍 東京/鳥取
C案(試算欄⑥) 1.7884倍 東京/鳥取
比例代表ブロック毎定数
北海道 ブロック 7 (現行 8)
東北 ブロック 12 (現行14)
北関東 ブロック 18 (現行20)
東京 ブロック 16 (現行17)
南関東 ブロック 20 (現行22)
北陸信越ブロック 10 (現行11)
東海 ブロック 19 (現行21)
近畿 ブロック 26 (現行29)
中国 ブロック 9 (現行11)
四国 ブロック 5 (現行 6)
九州 ブロック 18 (現行21)
総定数 160 (現行180)