核燃サイクル現場行脚 | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

核燃サイクル現場行脚

この一週間、原子力バックエンド問題勉強会として核燃料サイクルの中枢施設を視察して参りました。19日は茨城県東海村と大洗のJAEA研究施設(高速増殖炉の実験炉である「常陽」や核燃リサイクル等)、20日は青森県六ヶ所村の日本原燃核燃料サイクル施設、24日は福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」に、馬淵澄夫会長はじめ、役員の同僚と訪問しました。

それぞれの視察先では、それぞれのカラーを感じることができました。茨城県東海村と大洗は、日本の原子力研究の聖地のような場所です。施設内には、福田赳夫(父上の方)総理や中曽根康弘総理の視察模様、前の皇太子殿下(つまり今上天皇陛下。昭和時代という意味。)視察の模様などが飾られ、大洗の「常陽」は、稼働から30年以上経過しているだけあって、「うーん、歴史を感じるなぁ。」と率直に思いました。六ヶ所村は、中野渡のり子代議士の地元でもあり村長さんとも懇談致しましたが、産業としての地域の期待を担っている実態を垣間見ました。東電の統合本部に出入りしていた際に触れ合った東電の方が転勤で六ヶ所に来られていましたが、そうした人事をみても、研究施設と言うより民間の事業施設としての性質を実感しました。敦賀のもんじゅでは、取扱の難しいナトリウムを、1995年の事故もあり極めて慎重に扱っている様子が伝わってきました。廃炉を口にする政治家やメディアもあるなかで、研究者の熱心な、高速増殖炉技術の進展を求める思いは伝わってきました。六ヶ所と敦賀では、それぞれ雪景色と時折大雪が歓迎してくれたのが印象的でした。

私を含め、政治家の多くは原子力技術の専門家ではありません。中には、材料工学の専門家であったり、他分野の科学者であったりもしますが、専門的知識が専門家以上にあるものではありません。ただ、国民を代表する議員として、地元の声を代弁し、消費者の立場も勘案し、国の長期エネルギー政策も考え、税金や公共料金である電気代に付加される形での国民負担を活用している以上厳しい目でチェックし、その上で方向性を示すのが政治家の使命です。


専門家ではない、と書きましたが、政治家としての「嗅覚」と「バランス感覚」を持って指針を示す、これが何より重要と考えています。今日までの原子力バックエンド問題、特に核燃サイクル政策は、民間企業である電力会社のイニシアティブに委ね、その方向性を国が追認してきた面が強いわけですが、最終処分の場所が決まらないのが象徴的なように、政治がもっと責任を持ってこの議論を導かなくてはならない、それが我々の問題意識です。馬淵会長に対し、「とりまとめの素案はいつ出るのか」「核燃サイクル中止を目指すのか」などとメディアの方々からしきりに質問が飛びましたが、そう簡単に結論が導けるものではありません。「中止!」「廃止!」「ムダ遣い!」と叫ぶのは簡単ですし一時のメディア受けはするのですが、そうした安直な結論は長期的には百害あって一利ありません。さまざまな条件、環境、知見を咀嚼し、その上で会としての考えは来年一月に示すことになります。一部の方々の政策判断によって決定されてきたこの課題を、消費者であり負担者である全国民で共有すると共に、将来のイノベーションの芽を残しながら、現代世代の負担や将来世代へ極力ツケ回ししないような提言を、政治のリーダーシップで示すことが出来るよう、年末年始にかけて、しっかり練り上げて行きたいと思います。