TPP議論真っ盛り
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉に参加するか否か、党内はじめ各界で大きな議論となっています。「貿易立国として国を積極的に開くのは当然」とする積極論がある一方、「農業が壊滅的な打撃を受け、医療はじめわが国の制度が壊される」との慎重論も根強く、実質的な日米貿易協定であるこの問題、しばらくは議論が続きそうです。
さて私自身、態度未定の一人です。ただ、いつまでも旗色をはっきりさせないのもいけませんから、今月中のしかるべき時に、私なりの考えをまとめたいと思います。現時点で頭を巡るのは、次のようなことです。
「貿易立国だからこそ国を開かねばならぬ」という点について、確かにそうですが、むやみに開けばいいってもんでもありません。日本の鉄道車輌が多くEUに輸出されていることから、EUの鉄道車輌に対する購買圧力のようなものもあるようですが、今やJRも民間企業である以上、日本政府が無理強いできるものではありません。
一方で韓国とEUのFTAは昨今発効し、車で10%、液晶テレビで14%といった関税が撤廃されています。そういえば、先週訪れた英仏両国では、かなりの部分で液晶テレビがPanasonicやSHARPでなくLGだったことが印象的で、ある意味ショックでした。日本は、自分からどんどん服を脱いで、もう脱ぐモノがなくなってしまい、一方で相手はまだ何枚か服を着たままでいる、そんな状態がEUとの間で繰り広げられ、結果としてわが国は裸のナントカ、になってしまっているのではないか、という懸念があります。
農業に関しても、私は農業地盤ではありませんけども、山岳地形のわが国と、他国の農業を同条件で論ずるのも無理があります。そんな中、わが国の毎年一万ヘクタールの耕作放棄地がうまれ、今や埼玉県と同じ広さの耕作放棄地がある中で、これ以上追い詰めると、わが国の食糧自給体制はさらにひどいことになります。
今のような自由貿易体制が続けばよいのですが、これからは世界の水不足、食糧不足、人口爆発が予見される中で、短期的な経済合理性以外の価値判断基準が求められるのも当然だと思います。ただ、一部の農業団体を守るための議論ではいけませんから、そのあたりの判断も難しいところです。
その他、労働マーケットや通信、知的財産、金融等々、懸念点はてんこ盛りで、なかなか判断は難しいところです。TPP賛成=体制派、TPP慎重=反体制派みたいなレッテル貼りを一部のマスコミはしたがりますが、私自身の政策基軸による判断で、考えをまとめようと思います。皆さんのご意見、ぜひお聞かせください。