マニフェスト検証と幹事長の「お詫び」 | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

マニフェスト検証と幹事長の「お詫び」


先週、岡田克也幹事長が記者会見を通じ、「民主党のマニフェストにおいて国民と約束した政策に関して、おおむね実現したものが多数あるが、残念ながらいまだに実現できていないものもある。その理由として、政策の必要性やその実現の見通しについて、マニフェスト作成段階において検討不十分なところがあった。この点について、国民の皆さんに率直におわびを申し上げたい。(一部編集)」と表明されました。異論反論渦巻いていることは承知で申し上げますが、私はこの岡田幹事長の姿勢を、真摯なものであると評価し、私も岡田幹事長と共に、マニフェストを掲げて選挙を戦ったものとして、十分な実現に至っていないことはお詫び申し上げたいと思います。

私は、お詫びと共に、三つの重要な指摘をしたいと思います。

第一は、我が民主党のマニフェストは、「書きすぎ」であり、本来のマニフェストが果たす役割を大きく超えた、前のめりしすぎのものであったということです。マニフェストの本家・イギリス各党のマニフェストには、「低所得者の所得税を減免する」とか「病院の待ち時間を少なくする」といった政策の方向性が書かれてはいるものの、財源や使途が事細かに書かれたり、●●手当を●●ポンド、みたいな何かのたたき売りみたいな表現もありません。また、我が民主党の2009マニフェストの決定的な欠陥の一つは、毎年自然増する社会保障費増加分の財源処置には触れずにいたことです。「生き物」である経済、政治を相手に、定点的な視点でマニフェストを作ってしまった時点で、何らかの修正が必要だったことは自明のことです。

第二は、第一点目と全く別角度ですが、マニフェストに書かれていることの多くは、それなりに実現している、もしくはメドが着きつつある、ということです。このお詫びを通して、民主党の取り組みが全くできていない、ゼロ点だと言われるのも酷な話です。第一点で、マニフェストは書きすぎ、と指摘しましたが、マニフェストが掲げる「国民の生活が第一」「ムダの削減」という方向性は正しく、その中で掲げた政策、例えば高校の授業料無償化や公共事業の削減は2兆円程度実現もしています。今、マニフェスト検証委員会で子細に分析していますが、取り組みが一定程度は進んでいることを、データに基づいて近日中にお示しすることとなります。その際に、感情的ではない評価を各方面からいただくことになります。

第三は、私たちはマニフェストを実現するためだけに政権を託されたのではない、もっと自信を持って、古い政治と決別する決意を形にすべきだ、ということです。私がよく引用するのですが、政権交代実現直後の20099月の世論調査では、8割以上の国民が政権交代を支持する一方、民主党マニフェストに対する支持は4割しかありませんでした。つまり、最高に期待をいただいていた段階でも、マニフェストそのものに対する支持は半分以下、これを私なりに解釈すれば、「マニフェストも結構かも知らんが、とにかく古い政治と決別せよ。」ということだろうと思います。場合によっては、「マニフェストは支持しないが、新しい政治を志向するなら君らを応援する」という声も多かったと認識しています。

これから、また、新しい代表を選ぶ選挙がやってくるでしょう。私は、こうした思いを共有する、そして今までの日本の政治の悪いところ、ボス政治であり、感情政治であり、メディア迎合政治であり、無責任型政治とは無縁のリーダーとともに、二年前に託していただいた思いに対し私なりに愚直に応えていきたいと思います。