財政中長期計画を明示すべし | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

財政中長期計画を明示すべし

タウンミーティングで「日本の財政は破綻するかしないか、石井さんはどう考えていますか?」と聞かれました。大変重要な問いです。多くの人が大変な関心を持っています。一方で、本件に関しては政府の公式見解はありませんし、与党としてはそうならないように努力する、という以外にないでしょうが、私個人の、というか、石井登志郎という代議士としての考えをここに記します。


まず、財政が破綻するかしないか、これに関しては「わかりません」としか答えられません。一部の議員や評論家、学者の中には「わが国の個人貯蓄は1400兆円ある。政府の債務残高はまだ1000兆円以下。よって、まだ吸収の余地は残っており、破綻の心配はない。」と断言する人がいます。こうした人たちの発言を聞き、研究して理解しようとしましたが、どうしても私には理解できません。「絶対破綻しない」なんて、言い切れる状況ではないと、私は思っています。


それでは、破綻するのか、確率論に関してですが、これは風船がどこまで空気を入れたら割れるか、という感覚に似ているのではないかと私は考えています。つまり、国の財政という風船は、結構な大きさにまで膨らんでいる。そして、まだまだ空気が入れ続けられている。どこまで膨らむか、もしくは風船が耐えきれずに割れるか、それは明確にはわからない、ただし、今の状況、20112月時点の状況は、常識的に考えれば財政風船が割れるようなところにまでは至っていないだろう、と考えています。この風船が割れるには、風船のキャパ(容量=家計貯蓄)以上の空気(財政赤字)が入ってしまった時ですが、その前にも、何らかのきっかけがあれば、不測の破裂をおこす可能性は100%否定しきれません。


では、このまま借金は増え続けるのか、風船を破裂ささないために、手立てをどう考えているのか、という点です。昨年の就任直後に、菅総理が「この先10年をメドにプライマリーバランスを均衡させたい」旨の発言がありました。ざっくりした感覚ですが、常識的なラインではないかと思います。と言いますのも、今議論している税と社会保障の一体改革、それと共通番号制度、これらがセットになった上で財政再建の絵が描けるわけです。つまり、共通番号制度が2015年導入とすれば、そこから財政再建に向けたプライマリーバランス化が図られる訳で、全体のバランスにもよりますが、2015年までは時間軸的にもこのままの構造をベースに進むと考えるのが妥当と考えます。別の見方で考えると、多額と言われる家計貯蓄ですが、今のペースで国債発行を続けると、2020年には完全に家計貯蓄額を国債発行額が上回る、と試算されています(日本経済新聞等の試算)。それを前提にすれば、遅くとも2020年までには、プライマリーバランスを均衡させ、財政再建に向けた歩みを始めなければ破綻状態になってしまう、と理解されます。


私たちのマニフェストに対するメディアや野党、そして国民の皆さんの指摘はもっともな点が多く、お約束したムダ削減が当初の想定とは遠い実績しか残せていない事実は潔く認めなくてはなりません。そして、私たちは早急に、財政健全化を目指す中長期計画を打ち出す必要があります。なんと言っても、今の国民の最大の関心事は、「将来不安」であり、その最大の不安は、国の運営に対する不安です。税と社会保障の一体改革と密接不可分な課題ですが、桜が咲き、夏へと向かう頃に我が党の素案が出されるタイミングに続き、財政中長期計画の骨格を、しっかり示していけるように、私も活動していきたいと思います。