ネット選挙解禁が見送りとなった件について | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

ネット選挙解禁が見送りとなった件について

ネット選挙解禁が見送りとなった件について


衆議院議員  石井登志郎


2010年夏の参院選までにインターネット選挙運動を解禁する」、このお約束を実現することができませんでした。結果を出すことが出来ず、皆さんの期待に添えませんでした。心よりお詫び申し上げます。

ただ、この通常国会では、成立の直前にまでこぎ着けました。あと一歩のところまで行ったことは、議会においてネット選挙解禁の重要性が十分に認識されているということです。皆さんをお待たせして恐縮ですが、引き続き全力で取り組んで参りますので、どうぞ引き続きの取り組みにご理解を賜れれば幸いです。


昨年夏に初当選後、政権交代が起きたのだから、ネット選挙を解禁することは難しいはずはないだろう、そう思っていました。以前より取り組んで来られた田嶋要代議士、民主党政治改革推進本部事務局長の海江田万里代議士、そして岡島一正代議士には、相当なバックアップをいただきました。実際の選挙を迎える参議院サイドでは、高性能コンピューター付きブルドーザーのような桜井充政審会長の絶妙な取り仕切りによって、一部消極論も霧消していただきました。そして民主党、自民党、公明党、社民党、国民新党、共産党、みんなの党、新党改革、たちあがれ日本、新党日本、新党大地各党各会派との協議をまとめあげ、あとはごくごく“形式的”に、国会で法案を通すだけの段階にまで持って行くことができました。


まとめあげるプロセスにおいて、本来のあるべき「ネット選挙全面解禁」が後退し、第三者の選挙運動やメール利用の解禁が見送られ、ツィッターなどは自粛としてしまったことに、様々なご意見をいただきました。私個人は、もちろん全面解禁論者であるから、その一部しか解禁しないことは極めて不自然だし忸怩たる思いでしたが、とにかく蟻の一穴をあけること、ここで小さな一歩かもしれないけども前に進むことで、千里の道も一歩から、と言うように、将来の全面解禁への道が開けるものと信じ、批判はすべて受ける覚悟で、“一部のみ”解禁を許容することとしました。


一方で、一部解禁という不自然な形となってしまうことで、かえって複雑となった部分もあり、そのためにも各党協議会ではガイドラインを作ることになりました。私が実務者協議の座長を務めさせていただき、各党各会派の皆さんとガイドライン作成作業を進めました。こうした一連の作業の中で、衆議院法制局、参議院法制局、そして総務省選挙部の事務方の方々には、それぞれの業務とは言え、寝食を忘れ、いや、寝食の暇を許さない程の無理を強いる中で、堅実な仕事をこなしていただきました。彼らは、締め切り間際の5月末には、平日には家に帰ることすらできていない程でした。朝8時から実務者協議を行うのですが、私の元にメールが届くのが夜中の3時や明け方の5時過ぎ、その案文を私も朝の5時から読み込み、そして各党の代表者と真摯な協議を行う、といった日々でした。その果実として、全党一致の公選法改正案、そしてガイドラインができあがりました。


あと一歩、のところまでこぎつけました。61日、衆議院の倫理選挙特別委員会が1015分より開催される予定でした。筆頭発議者となる海江田代議士とともに、私は委員会室で委員会の開会を待ちました。この委員会審議を経て、順調に4日までに法律を公布できれば、ネット選挙が実現していました。マージャンで言えば、役満とは言いませんがマンガンの手をテンパイして、隣の人がアガリ牌を捨てようとしている間際にまで来ていたのです。ところが、その日の倫理選挙特別委員会は見送られることとなりました。様々な法案が国会で不正常な形で審議・可決されることが続いていたため、国会が大荒れに荒れていたためです。翌2日、最後の期待をかけて国会へ登院すると、すべての委員会がストップし、10時から鳩山首相が発言をする両院議員総会が開催されることが告知されていました。この瞬間に、今国会でのネット解禁のための公職選挙法改正案の通過はほぼ絶望的となりました。

ほぼ絶望的と、“ほぼ”とつけたには理由があります。代表選の最中、私自身が期待をつないでいたのが、一部でささやかれていた「会期延長論」です。積み残された法案の処理を実行するために、参院選の日程もずれれば、死にかけた公選法改正案が再生するかもしれない、そんな期待を抱きながら、先輩方にも会期の延長を訴えながら新しい菅直人政権の誕生を迎えました。しかし、ご案内の通り、参院選日程のずれ込みがないことが確定し、この国会における公選法改正案の通過、つまり7月の参院選からのネット選挙解禁は実現しないことが確定しました。


重ねて書きますが、残念無念、痛恨の極みであるとともに、期待をいただいていた多くの皆さんに心よりのお詫びを申し上げるところです。



ネット選挙解禁、という課題は、年金や財政再建や教育再生と比べると、重要度は高くないかもしれません。ただ、「民主主義」の健全な発展という意味では、有権者がネットというツールを使って、どこでもいつでも情報を獲得することが出来る、そのことで正しい情報をより多くつかむことができるということで、大変有用であることに疑いの余地はありません。さらに、ネットを使って有権者が意見を表明することが出来れば、候補者や政党サイドの一方的な情報発信にとどまらず、市民が世論を容易に形成できることにもつながる。民主主義が大きく進歩する可能性を、極めて大きくはらんでいるのがネットであり、その第一歩がネット選挙の解禁です。今回、挫折をしたわけですが、時期臨時国会では最初からギアをトップに入れて取り組みたいと思います。



今回の公選法改正案の主な概要は、解禁の対象を候補者と政党に絞り、ツイッターは自粛、メールは解禁対象外とした不完全なものでした。本質的なネット解禁には、ツイッターやメールの利用、そして候補者や政党以外にも対象の範囲を拡げることが、当然あるべき姿です。一方で、現実的な議論として、誹謗中傷の対策、なりすましの頻発など、乗り越えなければいけないハードルがいくつか考えられます。このハードルを乗り越えるためには、政治家だけでない、広く国民の皆さんの知恵を結集して、そして成案を得たいと考えています。是非とも、色々なご意見やアイデアをお聞かせいただければ幸いです。

以上、大変長くなりましたが、今回のネット選挙解禁が見送りになったことに関するコメントとさせていただきます。