韓国視察報告 その4【ソウルふたつの空港】 | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

韓国視察報告 その4【ソウルふたつの空港】

めざす未来へ、情熱政治。石井としろうWeb演説会

ふたつの空港を視察


今回のソウル訪問に関し、私は行きと帰りをわざわざ利用空港を分けて、伝統的な金浦空港と最新かつ世界の様々なランキングで常にトップに立つ仁川空港両方を視察してまいりました。その感想は、まさに「百聞は一見にしかず」です。偏見・思い込みは怖い。


行きは仁川空港へ。

あっと言う間に関空から仁川に到着。改めて、近さに感動すると共に、驚く。空港はかなりでかい。北京空港もかなり大きかったですが、こちらも相当な大きさで。それもそのはず、ただ今、三本の滑走路がありますが四本目がまもなく完成、それも並行で四本ですから、豪華というか、整然としているというか、とにかく関空のあれだけの遠洋(あえてこう言う)に無理矢理作ったのとは違い、半島とその先の島の間の湾を埋め立てて、そこにきれいに滑走路が4,5本はまるくらいの大きさだったものだから、これまた関空とは違い、天然の地理条件も活用しての開発になっています。


先ほど、滑走路が現在三本あり、四本目が供用開始目前と書きましたが(それも全部4000メートル級)、五本目が必要なときには、公社が所有するゴルフ場をつぶしたらすぐに五本目になるというのですから、その対応力には脱帽する以外にありませんね。

現在の発着回数は21万回ということですが、この設備なら40万回でも50万回でも発着できる能力です。関空や伊丹が12万回ずつですから、比較のレベルを超えていますね。仁川の離発着料が関空の三分の一だと聞きましたが、仁川は新規就航には一年間発着料無料という、無茶苦茶なことをやっています。結局、同じ土俵で戦ってもどうしようもないし、ライバル視するのではなくてそれぞれの特長を活かして頑張りましょう、という言葉しか出てこない、それだけのスケールを感じました。ハブ空港、ってのはこういう空港のことを言うのですね。


帰りは金浦空港から

ソウルに行って、行きと帰りの便を変えるなんて、そんなツウは私ぐらいだろう、と、自己満足に浸りながら、おかげでちょっと高くなった航空券を握りしめ、帰りは金浦空港へ。

都会の中にある空港、という思い込みだったので、伊丹空港のようなものかと思っていたら、ぜんぜん田舎でした。イメージは、成田空港の周辺と思ってもらったらいいでしょうか。そこが、中心街から25キロのところで成田のような田園もある地帯になるのですから、ソウルが高層住宅ばかりの、ある意味コンパクトな街だ、と実感することにもなります。

もとは金浦空港しかなかったものが、騒音対策と拡張性の乏しい空港だと言うことで仁川をオープンしたのですが、アクセスのよさは未だ人気で、国内便中心に11万回の離発着があります(ピークの半数)。

問題となる騒音対策費ですが、額は年間20億円ほど、これは伊丹と比べて格段に安くないようにも見えますが(伊丹の騒音対策費は50億円)、今日まで6500億円以上ですから、積み上げた額は違います。また、仁川が出来てから離発着が半数となったそうですが、今まで使っていたターミナルスペースが余ったと言うことで、そこには映画館(TOHO CINEMAS のようなもの)やちょっとしたショッピングモールが出来たりと、そこで飛行機に乗らない需要を開拓してターミナルが儲かる努力をしている点が、これまた参考になりました。

先述の通り、成田空港周辺のような地域ですから、拡張をその気になれば出来たのかも知れませんが、騒音対策からして便数を半分に激減させる判断は、これまたトップダウンの国らしいと思わせるものです。




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まとめ

この手の施策(航空行政の類)は、トップダウンが重要だと実感する機会になりました。ボトムアップは大切ですが、この手の施策にはそぐいません。とにもかくにも、ハブ空港という観点で日本の空港が、がっぷりよつで勝負すれば、間違いなく負けることがわかり、それだけでも大きな成果がありました。一方で、ソウルの仁川・金浦両空港の取り扱いは、必ずしも簡単でなく、複数ある空港の取り扱いをどう考えるか、関西三空港問題もからめて、実に複雑だと言うことも実感できました。結局、それぞれが持てるリソース(ここでは空港のこと)を、トータルで最大のアウトプットを出すためにはどうすべきか、そのことを国のトップで考えて進めなければ、地方の利害という観点に流されてばかりで、ついにはビジョンのかけらもなくなってしまうことを、改めて懸念する視察となりました。