韓国視察報告 その3【韓国中央選挙管理委員会】 | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

韓国視察報告 その3【韓国中央選挙管理委員会】

中央選挙管理委員会へ♪

めざす未来へ、情熱政治。石井としろうWeb演説会


視察目的の二点目は、いよいよ目前に迫った日本でのインターネット選挙運動解禁を前に、この点では一歩前を行く韓国の実情をヒヤリングしようと、中央選挙管理委員会を訪問しました。



日本で言う中央選挙管理委員会は、省庁参加の一組織ですが、韓国では憲法組織、つまり憲法に定められた独立組織であります。それだけ、選挙の中立性を担保するために気合いを入れている、と考えてよいかもしれません。



先方では、最近では自民党の大臣経験者以来二人目の訪問者と言うことで、法務局長代理のリ・ペンリョンさんはじめ多くの方が歓迎してくれました。


めざす未来へ、情熱政治。石井としろうWeb演説会



そもそも論ですが、韓国の国会の選挙は小選挙区が245、比例代表部分が54で、日本のように重複は認められておらず、比例部分の名簿の半数は女性であることが義務づけられています。また、日本との最大の違いは、大統領制であることです。そして、インターネット選挙に関する発火点も、大統領選挙でありました。



韓国におけるインターネット選挙は、2002年の盧武鉉大統領誕生の原動力となったことで一躍、市民権を得ることとなりました。そして、続く2004年の国会議員選挙では85%以上の候補者がウェブサイトを開設し、活用が活発化し、同時に色々な課題が表面化、選挙管理委員会における本格的な対応が始められることとなりました。



韓国のインターネット選挙に関する中央選挙管理委員会の対策における特徴なのがインターネット言論社という定義によるメディアのくくりと、中央選挙管理委員会におけるサイバー監視団の存在です。



インターネット言論社とは、要はインターネットを通じて政治や候補者の報道や批評をするサイトで、一定数以上のアクセスがあって政治を語るには、必ずインターネット言論社として登録しなくてはならないようです。朝鮮日報のような大手メディアに始まり、Yahoo! KOREAなども含んだ1,560のサイト事業者がインターネット言論社として登録されています。



そして、もう一つの特徴である中央選挙管理委員会におけるサイバー監視団が、インターネット言論社のサイトや、候補者、議員、政党のサイトを毎日チェックしています。そのチェックの仕方は、「川の利権」「兵役免除」「汚職」と言ったキーワードを、インターネット言論社のサイト、10万以上のアクセスがあるコミュニティサイト、政治関係者のサイトなどすべてをスクリーニングしながら、あとはその中味をサイバー監視団と言われるメンバーがチェックし、不適当であると判断されたページは閲覧ができないようにする、というものです。ここでもうひとつ韓国で特徴的なのが、先にも触れましたように中央選挙管理委員会が憲法組織で強力な権限を持っていることにも関係するのですが、記載内容が「中立」であるかどうか、という点まで判断し、不適当であれば削除する、ということまでしてしまうことです。



日本にも韓国にも憲法に「表現の自由」はあるわけですが、韓国においてはその「表現の自由」なみに選挙の中立性を守るための仕組みが用意されている、というわけです。

こうした韓国独自の仕組み、文化が私たちの国の制度作りに直接役立つかどうかは定かではありませんが、一つの参考になることは間違いありません。



その他、細かいことでもいくつか参考になる点は見つかりました。例えば、電子メールの取り扱い。今、我々の中ではオプトイン方式か、オプトアウト方式かが議論となっていますが、韓国ではオプトアウト方式、つまり候補者サイドからメールを送ることができるスキームになっています。但し、メールの題名に選挙情報だと明記し、受信拒否を受信者側が表明した折には即座に配信停止の手続きを取らなくてはいけないこととなっています。ちなみに以前は、メールアドレスの出所を明記する必要があったそうですが、実効性が無意味と判断されて現在は出所明記の義務はなくなっています。



また、最近話題のツイッターに関しては、メールアドレスが明記されない(ツイッターはIDのみ)ということから認められてはいません。ただ、技術革新に制度がついて行かないのはおかしい、という考えから、近々、認められる方向で議論が進んでいるようです。



その他、本当に示唆に富む話をたくさん聞かせていただきました。教育視察の点でも触れましたが、とにかくこの国はトップダウンで話が進むため、ICTのような最新の技術に対する対応が早い、早い。その点は見習うべきです。一方で、やりすぎ?、と思うような面もあり、それぞれの国の情勢と文化がありますからいい悪いは言えませんし余計なお節介なのですが、こうした点を勘案しながら、我が国のネット選挙関係の動きを進めて行きたいと思います。




めざす未来へ、情熱政治。石井としろうWeb演説会