韓国視察報告 その1【小学校ICTパイロット教育事業視察】 | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

韓国視察報告 その1【小学校ICTパイロット教育事業視察】

韓国ICT教育視察




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1217日、ソウル郊外の京畿道ヨンイン市チェイル初等学校(小学校)に視察に参りました。ちょうど18日には終業式ということで、当初の予定を一日早めて行程を組みました。ソウル市内は新型インフルエンザの警戒態勢が強化されており、外からの訪問客をシビアに遮断しているそうで、その結果、ソウル市内から一時間以上かけて現地に赴きました。それだけあって、向こうも日本から国会議員が来ることが滅多にないからでしょうか、正門前に「歓迎! 日本国国会議員様」なんて横断幕が掲げられ、ちょっと恥ずかしいような気持ちで校内へ入りました。




チョイル初等学校は全校で200人程度の小規模校です。一学年に一クラス、だいたい30名から40名で、韓国国内では多い方だそうです。この点は、日本の基準と一緒ですね。ここの、5年、6年でノートPCを全生徒に持たせ、デジタル教科書を活用した授業が行われています。



そもそも韓国では、現在、小学校5年生では6教科(国語、算数、科学、社会、音楽、英語)、6年生では4教科(国語、算数、科学、社会)のデジタル教科書を国で開発しており、その教科書を使った授業を、希望した112校で実施しています。その一つが、チョイル初等学校です。



実際に授業参観する前に校長室で概要説明などを受けたのですが、そこで目についたのが、京畿道(“道”は日本の“県”)の教育委員会が作成した「楽しいコンピューター」という本の存在でした。要は、メディアリテラシーや、真夜中までPCに向かっちゃだめよ、というようなことが書いてある教科書ですが、私が認識する限りこうした教科書はあまり日本で見ないので、仮にまだないならば、しっかりと日本でも「楽しいコンピューター」日本版を用意してもらわないと、と感じました。




韓国では、電子黒板はほぼすべての小学校の教室に設置済みだそうで、さらに、パイロット事業に参加している学校では、56年生すべてに、HP製のノートPCが支給されているのですが、このノートPC、HP製で画面はタッチペンで反応するタッチパネルタイプ、画面もくるくるまわるタイプで、普段、我々が使用しているものよりも機能は優れているような気がします。ちなみに、副校長が「パソコンは日本製ですよ。」と最初の説明の時に言うもので、パナソニックか富士通か何か、楽しみにしていたのですが、ヒューレットパッカード製で拍子抜け。先生に、「この会社はアメリカの会社ですよ。」と言うと、「あ、そうなんですか。でも、日本の会社から買ったと聞いています。」と。それ、ヒューレットパッカード・ジャパンか何か、というオチでしょうか。


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さて、実際の視察ですが、私がまず見たのが、小学校6年生の社会の授業。朝鮮分断の歴史と、統一の必要性、というかなり中味のある授業を視察することとなりました。実際の授業は、もとになる教科書は紙ベースのものがもともとあるのですが、その発展系で用意されたデジタル版教科書を活用し、関連する画像や、それぞれの考えをパソコン上で表現して先生に電子メールで送信したり、今までの授業のイメージとは結構違うものであることは確かです。




続いて、5年生の教室へ。ここは、ノートPCのタッチパネル上で絵を描くという、何とも挑戦的な試みをしていました。実際、絵を描いたりするのをPC上で書くのは面倒くさそうな感じもしますが、子どもの好奇心向上には役立っているとのことで、こちらも新鮮な気持ちで授業を見守りました。



この授業を見て感じたことは、まず、PCや電子黒板などハードだけを配布してもどうしようもなく、教科書のデジタル化や、模範的なICT活用授業の例などソフトを提示した上で進めなければ、意味がないなと、その点、韓国はメリハリをつけてICT教育を推進しようとしており、今後の評価と取り組みが興味深く思えました。




本来の視察はここまでだったのですが、校長さんとお話ししているときに私が「給食はあるのですか? ここで作っているのですか?」と、関係ないけども私の興味で質問を色々とさせていただいたところ、「よかったら給食食べていきますか?」とお声かけいただき、素直に促されるまま、給食をいただくことに。同行いただいた大使館員さんらは本当に給食を食べることになってかなりびっくりしていましたが、給食こそ、その国の生活実態と文化が一番わかるもの、との思いでいただきました。



ちなみに、先日、日本で小学校の給食をいただいた後だったので、その比較もでき、実にいい機会となりました。日本の給食は一食が290円で作っていますが、こちらは一食が2,200ウォン、だいたい180円くらいでしょうか。物価・賃金水準からすると、こんなものでしょうか。




日本のように、トレーに食器を乗っけるのではなく、トレーと食器が一体化したトレー型複合給食容器(私が命名)に、給食を作ってくれたお姉さんたちが一つ一つ入れてくれます。その前に、給食は日本のように給食で食べるのではありません。全校生徒に隣の幼稚園の生徒までが一緒に、ホールに一同に会して食事をします。そのメリットは、まず、いちいちクラスごとに食事を運ぶ必要がないこと、そして教室よりも衛生管理がされていること、と副校長から説明を受けました。なるほど、その通りかも知れません。

そして、お楽しみの献立ですが、写真の通り! キムチ二種類、普通の肉じゃが、玄米のようなものがちょっと入った白米、味噌汁。キムチは、普通にマジで辛い。韓国のお店で出てくるのよりも辛かったかもしれない。日本のように、子供用のカレーは甘い、なんて甘っちょろい対応を韓国ではしておらず、家庭の辛さをそのまま給食にも持ち込んでおります。


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温かい給食を、暖かい韓国の皆さんとおいしくいただき、小学校をいよいよ後にする時となりました。最後に、隣接する幼稚園を視察しました。現在23人のお子さんがいるそうですが、ここは定員が25名。日本と同様、一人のお子さんあたりの面積が決められているそうです。



校庭で走り回る子どもたちに、私のいつもの質問をぶつけました。「将来、何になりたい?」と。その答えは、「獣医」「科学者」「宇宙飛行士」などと、日本の子どもたちよりもバラエティーに富んでいたような。創造性が豊かなことは、財産ですよね。


去る前に、校庭には韓国の英雄、李舜臣の銅像を発見。副校長が、「豊臣秀吉が攻めてきたとき、朝鮮を守った英雄です。」と、日本人の私にちょっと申し訳なさそうに言われたので、私は笑顔で「いやいや、皆さん方の英雄の銅像、立派ではないですか。それぞれ、歴史があって今があるのですよ。」とお答えしました。そうです、歴史があって今がある、そしてその歴史を認識しながら、お互いが尊敬し合い、高めあっていく、心からの歓迎をしてくれた初等学校の皆さんに感謝を伝え、現地を後にしました。