【教育】この国は、リーダーを育成しているか? | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

【教育】この国は、リーダーを育成しているか?

■春から、東大の英断!?


 桜咲く季節となりました。別れと巣立ちの卒業シーズンである3月から、出会いとスタート、そして希望の4月へと暦は移りつつあります。さてそんな中、東大が「親の年収400万円以下ならば学費免除」という制度をスタートさせます。これは東大自身が発表した調査によって高まった議論が背景にあります。それは、東大に通う学生の親の平均年収が1,000万円前後である、というものです。"国立大学"である東大にたどりつくためには親にそれなりの収入がなければならないこの国の現状が浮き彫りとなりました。

 そこで東京大学では、この春から親の年収が400万円以下の学生の学費を免除する、という制度を始めるそうです。調査によると該当者は全学生の一割程度となり、大学側の予算措置として9000万円程度を計上するそうです。これには、英断だ!、とする賛辞の声と、暴挙だ!、とする反対意見が寄せられているそうです。賛成論は「親の年収が低くても東大に通える!」というもの。反対論は「持てる東大だからこその策。さらに格差が拡がる。」というものです。


■「知の育成」に後ろ向きな日本


 私は、この東大の決断を英断と考えます。そして、それ以上に思うのが、東大だけではなくて、日本全国の国公立大学が学費を限りなくタダに近づける、それが無理なら奨学金の徹底的な拡充を図り、将来への投資を拡大させるべきと考えます。ちなみに東大の一年間の学費は54万円程度、入学金などとあわせると初年度に80万円ほどが必要となります。一方でフランスやドイツの国公立大学の学費はタダ、アメリカでは超一流私立大学は年間の学費が300万円以上というところもありますが、州立大学では50万円程度ですし、何よりも奨学金が充実しており代表的なペル奨学金は連邦政府が500万人以上の学生に予算総額1兆円以上(一人当たり25万円/年)の奨学金を給与(貸与ではない!)しています。


■人口減少社会を乗り切る「知」の集積を


 ところで、もうひとつ気になるデータがあります。それは、世界一の学府であるハーバード大学への留学生数です。別にハーバードでなくても日本にもいい大学はありますが、ひとつの指標であることは間違いありません。それによると、2007年の一位はカナダの489人、続いて中国400人、韓国289人インド216人、イギリス201人、ドイツ158人、日本127人、台湾117人と続きます。バブル真っ盛りの91~92年は一位は中国220人、続いて日本179人、カナダ163人、台湾115人、韓国97人で、明らかにこの面では後退しています。

 少子高齢化・人口減少社会を乗り切るためには、①女性の就労促進、②高齢者の就労促進、③移民の受け入れ促進、④生産性の高い産業へのシフト、が主に考えられます。①~③まではそれぞれ議論がありますが④の生産性の高い産業へのシフトはグローバルな競争の意味からも疑いの余地なく、わが国にとって重要な要素です。しかしいまや、日本の一流研究者が海外に続々流れていく有様です。一流の数も減り一流が流出する。この危機を、私たちは本気で向き合わなくてはなりません。