【経済】暴騰する原油と私たちの選択 | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

【経済】暴騰する原油と私たちの選択

■1バレル100ドルの衝撃


年始早々、原油の国際指標で最も一般的なものとされるニューヨーク商業取引所の原油価格が1バレル(約159リットル)あたり100ドルの大台に乗りました。実にこの一年で二倍近い上昇で、98年12月の1バレル10.72ドルとは10倍近い値上がりとなっています。原油価格の暴騰が私たちの生活に大きな影響と将来に対する不安をもたらしていますが、ここでしっかり落ち着いて現状を理解し、中長期的にとりうる方策について知恵を絞らなくてはいけません。


■原油高の三つの要因

さて今回の100ドル突破の引き金は、産油国の政情不安などもあるようですが、それだけではここまで暴騰しません。主な原因は(新聞等で書きつくされていますが)次の三点に大別されます。第一は供給サイドの原因です。不安定なイラクやイラン、そしてベネズエラ等の問題などがじりじりと価格上昇を後押ししてきた側面は否定できません。
第二は、世界の過剰なエネルギー需要にあります。中国やインドに代表される新興国がかつてない勢いで経済成長を続け、その結果として原油需要そのものがかなり増えたために相場が上昇しています。
第三は、投機資金の過度な流入です。これが今回は一番大きな影響を与えているように思えます。一説には、実需の三倍以上の投機資金が市場に流入し、その大半はカジノのように一攫千金を狙うための資金だといわれています。


■めざす道
-徹底した省エネ社会と投機の排除-
今回の原油暴騰によって、既に生活への甚大な影響が出始めていますが、ここではあえて中長期的な対応に絞って私の考えを記しておきます。
オイルショックによって、わが国はエネルギー源の石油依存度を80%から50%程度にまで低下させ、さらに世界随一の省エネ技術を誇る国へと発展を遂げました。しかし、今回の原油価格が沈静化し10年前の価格になるとも考えにくい状況にあります。ともすれば、さらに原油依存度を下げるため、世界随一の省エネ技術を極限まで活用し、社会生活そのものの大転換までをも想定した、徹底した省エネ社会の実現をめざす以外に私たちの残された道はありません。
そしてもう一つは、投機資金の排除を全人類の英知を終結して実現しなくてはなりません。投資が資本主義社会の基礎であり、投資があるからこそ大規模な開発などによる現代社会の基盤が築かれてきたことは疑いないことです。 しかし、今やマーケットには心無いマネーゲームをするためだけの資金があまりにも多く流入しすぎています。こうした資金の遮断を、どうにかして考えなくてはなりません。これは、ある意味で資本主義に対する挑戦ですから、このスキームをうまいこと編み出すことができたら、まさにノーベル経済学賞ものですけれども、「投機資金はつきもの」という後ろ向きな現実肯定は、極めて非情熱的です。皆様はいかが思われますか?