世界のいろいろな国に行ってみると、世界中の人が本当にいい加減なことに、あきれることがあります。
以前、企画の仕事をしていた時に、インドのボンベイでセミナーを行った時のことです。
200人位の人が参加する予定だったのですが、予定の時刻になっても、数人しか会場にいません。しょうがなく30分遅れで始めたところ、それからどんどん人が会場に入ってきました。
日本に帰ってからインドの本を読んでいたら、インドではほとんどの人が遅れてくるので、結婚式は普通予定の1時間半後に始まるのだそうです。
これは極端な例かもしれませんが、海外の人と会議をすると、なかなか人が集まらないために、日本の人がいらいらして待っているということがよくあります。
でも、よくよく考えてみると、外国の人がいい加減なのではなく、日本の人が特別に几帳面なのかもしれません。
几帳面なだけでなく、日本の人は「がんばろう」という言葉が大好きです。
何人か集まると、「がんばろう」「がんばろう」と声をかけあいます。
知人のアメリカの人が日本に来て、周りの人と一緒に「がんばろう」「がんばろう」と言っている内に、気持ちが沈んでうつ病になったことがあります。
その人に聞いたところ、英語には「がんばろう」にあたる言葉がないのだそうです。
「日本人が『がんばろう』と言う時アメリカの人はなんと言うのですか」と聞いたところ、そんな時アメリカでは「Take it easy!(気楽にいこうよ!)」と言うのだそうです。
なんという違いでしょう!
でも、スポーツの大事な試合で、「がんばろう」と声をかけあって緊張するよりも、「気楽にいこうよ!」と声をかけあってリラックスした方が力を出せるかもしれません。
うつ病の人には「がんばろう」と言ってはいけないとよく言われます。
確かに、うつ病の人のカウンセリングをしていると、真面目な性格で、がんばって、がんばって、がんばり続けて、ついにがんばれなくなって、うつ病になったという人が多いように思います。
その人が「がんばろう」と言われても、もはや「がんばるエネルギー」が無いのです。
そんな時は、「気楽にいこうよ!」と声をかけてあげたいなぁと思います。
「がんばる」というのは、日本人の美徳なのかもしれません。
戦後、今の60代、70代の人が「がんばった」ので、こんなに日本は復興し、発展したのだと思います。
ただ、これだけ物質的には豊かになったのですから、そろそろみんなで「気楽にいこうよ!」と声をかけあっても良いのかもしれません。