規制改革推進会議の乱暴な動きが止まらない | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

規制改革推進会議の乱暴な動きが止まらない

【農協・全農改革から、林業、水産、卸売市場分野に拡大】

 

国会は、9月末の臨時国会まで若干の期間がありましたが、この間、内閣改造、党役員人事、30年度予算の概算要求の議論、臨時国会提出の法案論議、酪農制度に係る政省令対策、北朝鮮のミサイル発射と水爆実験、これらとも関連した憲法改正論議、北九州をはじめとする豪雨被害と復旧対策等、毎日、日程が詰まっています。

 

その中で、またぞろ規制改革推進会議が動き始めています。官邸主導の11日の会合で、当面重点的に議論する3分野が決められました。公共用の電波の民間企業に対する開放、待機児童解消に向けた保育制度の見直し、そして林業の成長産業化のための改革だといいます。このほかのテーマとして農林水産業では、浜の漁業権の有効活用(という名目での民間企業への開放)、卸売市場の活性化という形での抜本改革、農協改革については19年5月末を期限とする農協改革集中推進期間の進捗状況の点検等を盛り込んでいます。このため、農業ワーキンググループを農林と水産に分けるということです。

 

総理は、再び、「チャレンジを阻む岩盤のような規制に真正面から挑戦し、スピード感をもって改革を進めていく」と挨拶されています。アベノミクスの3本柱のうちの成長戦略の具体化のためのスローガンなんだからと割り切ればそれまでですが、なぜ、もっと丁寧な議論を進めないのか、納得がいきません。

 

というのは、何度も繰り返しますが、総理は、野党になった後の、政権復帰した平成24年末の第2次安倍内閣の党大会で、「息をのむほど美しい田園風景、世界に誇るべき国柄、伝統、農村文化、私は日本の農業と食を守ります」「強欲を原動力とする市場主義経済の道をとってはならない、道義を重んじ、真の豊かさを知る瑞穂の国の資本主義を目指します」と挨拶されていました。

 

  ところが、まさに現下の環境は、隣国との緊張が高まっており、日本を守るためには、この日本を分裂させるのでなくて、一つにまとめていくことが求められているのです。現に存在しているものは、その理由や背景があるのであって、それを「岩盤を打ち破る」という形で、一方的に断罪するのではなくて、「国民各層の理解を得て、ともに支えていく」ということが求められるのだと思います。なのに、特定の産業や分野について、「取り組みが遅れている」とか、「改革してゆかねばならない」ということで攻撃するのでは、「大切な日本を守ることは出来ない」と言わざるを得ないのです。

 

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