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日本を考える

【安倍総理の大変な努力と不満】


 通常国会での安倍総理の施政方針演説は、40分にも及ぶ長いものでした。アベノミクスの成果を語るとともに、成長戦略を具体化することを強調するものでした。


 この点は、私は賛成です。総理はよくやっておいでだと思います。アフリカ、中東諸国を訪問し、一旦帰国して党大会で演説し、その後スイスのダボスで演説し、また一旦帰国して国会開会式後の衆参本会議で施政方針演説を行い、翌日はインドに向かいました。本日帰国されたら、明日から各党の代表質問と予算委員会が始まります。その後、ソチ五輪開会式にも出席し、プーチン大統領にも会われます。ソチには、中国の習近平主席も出席するので、顔を合わせるチャンスもあるかもしれません。


 これほど動きの激しい総理大臣はいなかったと思います。長期のデフレを克服する経済問題とともに、緊張も高めている中国の包囲網をつくっているのではないかというマスコミ報道もありますが、そうかもしれません。中国は、尖閣諸島の問題などを背景に防空識別圏を一方的に設定しましたが、中国の経済成長の停滞や中国内の政治体制問題もあって、日本との間で意識的な緊張関係をつくりあげているというような報道もあります。また、安倍総理の集団安全保障体制の見直し論議や、靖国参拝という姿勢に対する中国側の警戒心もあるのかもしれません。その靖国参拝を、米国が「失望」と表明したので、日米関係についても論議が高まってきています。靖国参拝は、総理の精神的な強い思いを果たそうとしたものでしょうが、中国・韓国の批判は予測していても、米国の姿勢は総理には意外だったのかもしれません。


 総理は、このことでの米国の対応に強い不満を持ったのではないかと思います。米国は、日米間、そして日米中韓の関係をどう考えているのか、日本をないがしろに考えているのではないのか、という思いでしょう。TPPの年内妥結を目指した米国の意向を踏まえ、昨年のバリ会合では、国内の予算執行問題で身動きがつかないオバマ大統領に代わって、安倍総理が努力された。ところが、その後のシンガポール会合では、米国は何らの努力も示さなかった。だから、シンガポール会合後、関西テレビに出演した総理は、「米国に迎合したり膝を屈するということはない。我々は、5品目については基本的に守っていくということをJ-ファイルに書いていますし、農水委員会の決議もあります。それを踏まえて、日本の国益、国柄を守るという決意でしっかりと交渉をしているということです。その交渉姿勢は今後も変わりません」と発言したのではないかと私は考えています。


 私は、この総理の姿勢を断固支持したい。TPPの問題も、今後のこうした国際的な政局の中で動いていくのではないかと危惧しています。真に、日本の農林漁業や、国のあり方に関わる問題として対処すべきです。


 ところで私自身は、宿舎から靖国神社は近いので、散歩がてら訪れますが、その際は、これも隣にある千鳥ヶ淵の戦没者墓苑も訪れることにしています。総理にも、靖国に行くのであれば、同時に戦没者墓苑にも寄ってもらえれば良かったと思っています。


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