みなに幸あれ
古川琴音、松大航也、犬山良子、西田優史他
130点
かなりグロテスクな作品である。「八墓村」に代表される横溝正史作品に登場する「村の因習」が、現代的ホラーとして描かれているといえる。
過去、心底恐ろしかったホラーの一つに「コララインとボタンの魔女」がある。この作品では「目がボタンになってしまう」という恐怖が描かれるのだが、本作品も「目」が恐怖の中核に存在する。
また、ニコラス・ケイジが主演した「ウィッカーマン」のような「生贄」も大きな主題の一つだ。古代において生贄が普遍的に行われていたのは、生贄をささげることによって、「他の人間の幸せ」を担保するためである。
多数のために少数が生贄となることが肯定されていたわけであり、そのメンタリティは現代人の中にも残っている。
その「多数のために少数が犠牲になる」というメンタリティのグロテクスさを、圧倒的に表現したのが本作品である。
古川琴音、松大航也などのリアリティのある演技に対して、他の出演者のまるで棒読みのような無機質な演技がぶつかり、異様さ、不気味さを増大させている。
古川琴音の風貌が役柄にピッタリとはまっていることは、ラストシーンでよくわかる。