キングスマン ゴールデン・サークル | 大原浩の金融・経済地動説

キングスマン ゴールデン・サークル

 

タロン・エガートン、コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、ハル・ベリー、エルトン・ジョン、ジェフ・ブリッジス他

130点

 

「キングスマン」の続編だが、「鋭いエッジの効いた持ち味」はやや後退したものの、「コメディ」部分が進化して、娯楽映画としてはむしろ前作よりも楽しめるかもしれない。

 

麻薬問題が取り上げられているが、微妙な問題を「お笑い」にかえてしまう力量はさすがだ。

 

大麻などの「効果の弱い」麻薬は、世界的に合法化の流れにある。したがって、酒、たばこを売って(合法的に)大富豪になれるのであれば、麻薬を売って「合法的」に大富豪になるのがなぜ悪いという「悪人」の主張は説得力がある。作品中、砂糖の中毒性に触れられているが、塩の中毒性はすさまじく、すべての中毒のルーツだとされるほどだ。

 

逆に、フィリピンのドゥテルテ前大統領のような「情け容赦ない麻薬撲滅」を目指す米国大統領の立場もよくわかる。

 

結果的には「麻薬ユーザー」に優しい結末なのだが、日本と違って「麻薬ユーザー」の多い米国などでの観客に配慮したのかもしれない。

 

また、ステレオタイプであるが、英国と米国の「テイスト」の違いが、ケンタッキーのウィスキー工場とサヴィル・ロウ(背広の語源)との対比のテイラーなど随所に織り込まれているのも楽しい。

 

もちろん、冒頭から突っ走るカーチェイスなどのアクションや、「007シリーズ」を意識した「スパイ小物」も健在だ。

 

2時間を超える時間があっという間に過ぎる娯楽大作である。

 

https://eiga.com/movie/86303/