トレードオフ<バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略> | 大原浩の金融・経済地動説

トレードオフ<バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略>

産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/
6月号連載記事


バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略


第9回 競争戦略の核心その1 トレードオフ


何をしないかが肝心


ポーター賞の重要な選考基準の一つに「トレードオフ=何をしないか」があります。通常企業を評価するときには、「どのようなことをしているか」に注目しますし、また「何をしていないか」を知るのは意外に難しいものです。それでも、ポーターは「競争戦略」を考える上で「何をしないか」が極めて重要であると主張します。


 ドラッカーは、この「トレードオフ」のことを「強みに集中せよ」と表現します。「弱みを改善するために大きなエネルギーを費やしても、せいぜい人並みになる程度だ。それならば、その【エネルギーを強みに集中させ、他者を寄せ付けない強力な競争力を生み出せ】」ということです。


 またバフェットは同じことを、「偉大な企業は常に一つのことに集中して成功してきた」と述べています。例えば、IBMはパンチカード式計算機の時代から常に「情報処理」に関わるビジネスに集中して成功してきました。第2次世界戦中の軍需工場時代は別にして、車や飛行機の製造にかかわったことなどありません。逆にトヨタ自動車は「自動車」分野に常に集中してきました。そのルーツであるトヨタ自動織機で使用していたパンチカードがその後の情報処理産業の基礎を築きコンピュータのルーツともいわれているにも関わらず、IT・コンピュータ産業には進出しませんでした。コカ・コーラは、コーラを中心とした清涼飲料水だけで世界帝国を築きました。エビの養殖をはじめとするとんでもない副業を多角化と称していた迷走時代もありましたが、それらの副業は、今日までの同社の発展に何ら貢献していません。


 世界を席巻する大企業でさえ、「成功できること」には限りがありますし、逆に「成功できることに集中」したからこそ、グローバル・ナンバーワン企業となることができたのです。


何をしないかをどうやって決めるか


 ジャック・ウェルチがGEの改革に乗り出したとき、まず話をしたのがドラッカーです。そして、二人の会話の中で生み出されたのが、有名な「一番以外はやらない」戦略です。


それに従って、ウェルチはGEの既存の事業のうち「1番ではなくしかも今後も1番になる見込みのない事業」を、次々と売却・閉鎖していきました。もちろん、その中にはそれなりの売り上げと黒字を確保していた事業もたくさんありました。しかし、「強みに集中することが最良の競争戦略である」との判断から改革を断行したのです。
<続く>


続きは、産業新潮
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6月号をご参照ください。


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