それでも日本(株)を買う15の理由&史上最低級の首相 | 大原浩の金融・経済地動説

それでも日本(株)を買う15の理由&史上最低級の首相

昨日、エフ・トラスト社長の船山氏と共催でセミナーを行いました。

私の話のテーマは<それでも日本(株)を買う15の理由>だったのですが、1時間ほどの時間で、15の理由すべてをお話しするのは大変難しいので、15の理由の中からいくつかの理由をピックアップしてお話しました。(残りの理由については、6月25日の小屋氏との共催セミナーでお話させていただくつもりです。)

まず、一つ目の理由は、<これからの世界産業をリードする農業は日本のお家芸>です。
最近、農業分野はマスコミでも注目を集めていますが、ただ単純に畑を耕す農業は、ビジネスとしての発展性はそれほど無いと考えています。「植物工場」「動物工場」など、農業分野でもテクノロジーがビジネス発展の鍵を握っていると思います。

また、農業分野の発展は、日本の製造業にとっても追い風です。日本同様、長い間減反政策をとってきたタイでは、最近その方針が大転換し、休耕田が次々と復活しています。そのおかげでクボタの農機具の販売が好調です。そしてタイ国内で大々的に販売網を拡充しています。

そして、同じクボタが5年間普及活動をしてきて、現在急速にその利用が広がってきているのが、<鉄稲>=(通称:鉄コー)です。水田にまく種に、鉄のコーティングをしたものですが、なぜそんなことをするのか?

実は、日本における米の増産のネックになっているのが、我々にもなじみの深い田植えなのです。苗床で育った苗を、田んぼに植え替える作業はかなりの重労働で、平均年齢が60歳を越えている日本の農家では、特に大変です。そのために、直播の普及が不可欠なのですが、それには大きな壁がありました。

日本の水田では、田んぼの水漏れ防止や雑草の繁殖を防ぐために「代かき」を行うのですが、このときに田んぼに水を入れた状態で土を砕くので、土が粘土状になります。そのたため、土壌中に種をまくと酸素不足で稲が育たないし、逆に土壌表面に種をまくと苗が水中に浮いてしまうというジレンマがありました。

そこで、登場したのが鉄コーです。種をちょうど良い深さに定着させるために、鉄を重り代わりにしたのです。土壌中には、7%の鉄分がもともと含まれていて、安全面でもまったく問題がありません。

その他には、<1000年以上の蓄積が日本の産業を支える>、<心配すべきはデフレよりもインフレ>、<売りと言えば買い買いといえば売り>、<狼はやってこない>、<正しいことはシンプル>などのお話をしました。

<心配すべきはデフレよりもインフレ>については、一時30ドル台をつけた原油が50ドルから60ドル台で推移するようになってきていますし、銅などの需要も中国を中心に回復してきています。

中国、べトナムをはじめとするアジアの新興国については、政治的リスクがかなり大きいため今後の見通しについては、予断を許しませんが、たとえ新興国のいくつかがこの世の中から消えるような事態になっても、世界経済がいつまでもマイナス成長を続けることは無いでしょう。例えば、3%成長は日本や米国にとってはかなり高い数字ですが、インド・中国・ベトナムなどにとっては、政権の存続を危うくしかねない低い数字です。

ですから、世界全体の経済が今後成長するのは間違いがありませんし、今でも足りない資源・エネルギー・食糧価格が再び高騰するのは間違いありません。現在、それらの価格が比較的低い水準にあるのは、これまで積み上げすぎた在庫の調整にしか過ぎないのです。

また、リーマンショックは、発展途上国にとっては神風でした。

リーマンショック以前の資源・エネルギー・食糧価格がそのまま続いていたら、ミャンマー・ベトナム・中国などの政権はほぼ間違いなく崩壊していたでしょう。景気後退によるそれらの価格の下落によって救われたのですが、再び原油価格が150ドルを目指すようになると、新興国は危機的状況に追い込まれます。


2003年から申し上げている、日経平均が2014年に4万円、2020年に10万円になるという見通しは、現在でも同じです。夏くらいには、市場のムードはかなり強気に転換していると思います。ただ、今年秋の急落および、来年5月から10月にかけて行われる上海万博の行方には注視しなければなりません。無事終了しない可能性があるからです。

追伸:

米国で、現在では高い評価を得ているレーガン政権での大改革で基礎がつくられ、モニカ・ルインスキー事件を引き起こしたビル・クリントンや史上最低の大統領とも言われるジョージ・ブッシュが大統領の任期中に、経済は大躍進を遂げました。

日本も、小泉改革の後、安部・福田・麻生の各氏と、史上最低級の首相が続いています。今後、政権交代が行われるかもしれませんが、最低レベルの争いはまだまだ続きそうですから、日本の経済の将来はとても明るいのです。