自動車・家電などの衰退産業はもちろん衰退するが<日本の黄金時代>はやってくる | 大原浩の金融・経済地動説

自動車・家電などの衰退産業はもちろん衰退するが<日本の黄金時代>はやってくる

先日、講談社の担当者と話をしたのですが、彼によれば「今、書店には恐慌本があふれていて、ネガティブな内容の本ばかり売れているので、前向きな内容の本は売れそうもありません」とのことです。もしかしたら、私の本の出版のタイミングも遅れるかもしれません・・・・

しかし、この現象は近いうちに大規模な上昇相場がやってくるサインとも考えられます。
私は、野球やサッカーなどのスポーツにまったく興味が無いので、スポーツ新聞を購入したことが無いのですが、その見出しには注目して毎朝のようにチェックしています。

日経平均は、底値からおおよそ3割も上昇しているのに「さあ、日本株買い出動!」というような威勢のいい見出しには出会いません。格言に「上昇相場は懐疑の中で生まれる」というものがありますが、今がまさにその状況だと思います。

2009年2月18日の日記にも書いたように<狼=大恐慌>はやってこないのです。

また、家電産業や(ガソリン)自動車産業の苦境が毎日のように報道されています。特に家電産業は、政府からの支援受ける方向なので斜陽が決定付けられたと言えるでしょう。過去、補助金などの政府の支援を受けて復活した産業は基本的にありません。政府からの支援や補助金は<麻薬>のようなもので、一度麻薬付けになった患者を更正させることは大変困難です。

しかし、だからと言って<日本の黄金時代>がやってこないわけではありません。家電や自動車がそのようにだめになっても、新たな成長産業が日本の黄金時代を牽引します。高度経済成長からバブルに至る間にも、農業、石炭産業、繊維産業、造船業等々多くの衰退産業がありましたが、現在は衰退産業となりつつある家電や自動車、あるいはサービス産業などの成長産業が日本の経済を牽引しました。

現在は、家電産業や自動車産業が過去の石炭産業や繊維産業のように衰退していますが、それに代わる新しい産業の成長が始まっています。

まず、これまでは、衰退産業と考えられていた農業が「植物工場」や「動物工場」という新しいコンセプトやテクノロジーで最先端のビジネスに変身します。

また、ガソリン自動車産業は衰退しますが、電気自動車は普通に考えているよりも猛烈に速いスピードで普及して、インターネットがそうであったように、世の中を激変させます。ただし、電気自動車は「プラモデル」といわれるほど構造がシンプルです。そのため、トヨタやホンなどの組み立てメーカーは、世界中に数え切れないほど出現するため、現在のパソコンメーカーのように利幅の薄い商売を強いられます。

本当に儲かる商売は、電気自動車の部品(特に電池)メーカーですが、リチウムイオン電池などこの分野で世界をリードしている日本のメーカーは大きく羽ばたきます。

また、ベンチャーバブルの時には、売り上げがゼロのバイオ系企業に金融機関系ベンチャーキャピタルなどが多額の投資をして、ほとんど全滅しましたが、その残骸のなかからようやく次世代をリードする企業が生まれてきました。

もちろん、日本のお家芸であるロボット産業でもロボットスーツなどは実用化の水準に達しています。

その他、数え切れないほどの成長産業が現在の日本にはあるのです。