『学校に染まるな! バカとルールの無限増殖』(おおたとしまさ著)

『学校に染まるな! バカとルールの無限増殖』(おおたとしまさ著)

 

本日1月11日に、ちくまプリマー新書から『学校に染まるな! バカとルールの無限増殖』という拙著が出版されます。

 

簡単に言うと、「学校は人類の大発明といえるほどすごいものなんだけれども、でも、決して学校に染まりきってはいけない。なぜならば、得てして学校は既存社会の既成概念に染まった組織であり、学校に染まりきってしまうと自由な人生の足枷にもなりかねない危険性をはらんでいるからだ」という主旨の本です。

 

要するに、学校はうまく利用すればいいものであって、決して学校に取り込まれるなという話です。酒は飲んでも飲まれるなみたいなことに近いと思っていただいて結構です。

 

『学校に染まるな!』目次

『学校に染まるな!」目次

 

第一章では、学校の勉強の意味を論じました。教科書を人類の叡智のフリーズドライに、先生をそれにお湯をかけるひとに、それぞれ例えました。

第二章では、「これからの時代」をどうとらえたらいいか、を提案してみました。要するに、なんとかなるから焦りなさんな、という話でした。

第三章では、競争社会がいかにデタラメであるかを暴きました。どうせデタラメなので、落ち込んだり有頂天になったりしないように、気をつけてください。

第四章では、民主主義社会の市民の視点から学校を見てみました。ちょっと難しかったと思いますけど、民主主義は多数決じゃないということだけは覚えておいてください。

第五章では、学校選びという状況を想定しつつ、学校の価値について語りました。偏差値を脇に置いて学校の魅力を語れるひとが増えてほしいと思います。

第六章では、人生においては無駄こそ味わいだという話をしました。学校というシステムに染まってしまうと、つい忘れてしまう価値観です。

第七章では、学校というものを生み出した、人間の業の深さについて述べました。人間は愚かだからこそ、愛おしい。学校も同じです。ダメでいい、ダメがいい。

(「おわりに」より)

 

良心的な学校にはいまでもいると思うんですよね。新入生に対して不敵な笑みを浮かべながら、「君たちはこれからこの教室で学ぶわけだけれども、私たち教員の言うことを疑ってかからなきゃいけないんだぞ」と言う先生が。

 

子どもを学校に通わせる大前提として、親に限らず社会の大人にはこの姿勢が本来必要不可欠なはずなんですよね。

 

たとえばですよ。童話の「3匹の子豚」ってありますよね。どんなお話か、わかりますよね?

 

結論としては、「だからみなさんも怠けないで、三男のようにコツコツと頑張りましょう」と学校で教えられたのではないかと思います。でもちょっと待ってください。

 

相手が狼だったから、三男のレンガの家が役立ったわけですけれど、もし襲ってきたのが洪水だったらどうでしょう? 次男の木の家をイカダにすれば助かりますよね。もし熱波に襲われたら? レンガの家では豚の丸焼きになってしまいます。長男の藁の家で暑さをしのいだほうがいいですよね。

 

あの童話の本当の教訓は、三者三様の生き方をしながら助け合うことで生存確率が伸びるということですし、もっと言えば、長男のことを「あなたは怠け者」なんて決め付けず、三者三様の生き方を黙って見守っていたお母さん豚が偉いということになります。

 

なのに、いまの日本の学校制度は、100点満点のペーパーテストが幅をきかせる受験制度のせいで、得意不得意の差が激しい個性的な生徒よりも、どんな教科においてもまんべんなくできる万能型の生徒のほうが有利になるしくみです。個性的であるよりも、平均的に万能化することを子どもたちに求めます。

 

その価値観に染まりすぎると、気づいたら、誰とでも置き換え可能な何の変哲もない社会の部品になってしまいかねません。そうなると、あとは価格競争です。あるいは、せいぜい付加価値競争になるだけです。

 

これが現在の競争社会の構造です。

 

この現実をいますぐに変えることは難しいのかもしれませんが、この構造を子どもたちに理解してもらい、過度に学校に染まらないように自分の身を守る術を、この本に書きました。また、この構造を自覚し、少しでも社会を変える責任が私たち大人にあることを訴えました。

 

これまで80冊以上ある私の本の各エッセンスをぎゅーっと176ページに凝縮した濃厚な自信作なので、ぜひお読みください。

 

『学校に染まるな!』はこれらの本のエッセンスを1冊にまとめた本

『学校に染まるな!』はこれらの本のエッセンスを1冊にまとめた本

 

※2024年1月11日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容です。