入学・進級のシーズン。新しい習い事をはじめるお子さんも多いでしょう。

 

水泳、サッカー、野球、スケート、バレエなどの運動系から、ピアノ、バイオリン、お絵かき、書道などの芸術系、さらには英会話、そろばんなどのお勉強系まで、たくさんの習いごとがありますから、どれにしようか迷ってしまいます。

 

好奇心が強い子は、「サッカーも野球もラグビーも水泳もやる!」みたいになりがち。子どもがやりたいと言い出したものをぜんぶやらせるというわけにはいかないでしょう。時間的にも金銭的にも。さらに、簡単にはじめたものは簡単にやめてしまうということもありますよね。

 

また、あれもこれもと欲張ると、気づいてみると習いごとだけで1週間が終わってしまうなんてことも。子どもの健やかな成長のためには自由時間も必要です。自由時間は、子ども自身が時間をどのように使うかを考え、学ぶ時間です。習いごとと自由時間のバランスも考えましょう。

 

新しい習い事を始めるときに親として、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。

 

子どもが「オカリナを習いたい!」と言い出したとき、どうリアクションしますか?

 

(1) 「本当にやりたいの?ちゃんと続けるの?」と何度も確認する。

(2) 「どうしてやりたいの?」を聞き、数週間放置する。

(3) 「ピアノにしなさい!」とメジャーなものに誘導する。

 

習いごとは早期職業教育ではありません。どんな技術を身につけられるかよりも、その習いごとを通じて子どもが自信をつけられるかどうかで選びましょう。そのためには、子どもが興味を示したものをやらせるのが原則です。

 

好きなことには子どもは自然にのめり込むことができます。のめり込んでがんばれば、それなりに上達します。上達すればさらに好きになる好循環が生まれます。そうやって自然に自信を育てていけるのが、習いごとをやるいちばんの効果です。

 

「何を習わせるのが得なのか」よりも、「今、子どもが夢中になれることは何か」を考えたほうがいいでしょう。

 

この場合、オカリナなんて珍しいものに興味をもったのですから、人にはできないことができるようになって自信が付くという意味ではグッドチョイスです。だから(3)はもったいない。

 

ではオカリナでいいとして、本気度をたしかめるにはどうしたらいいのかという視点で、(1)と(2)を比べてみましょう。

 

(1)は何度も確認するんです。でも、子どもはたいがい本気でやりたいと思っています。で、やりはじめると「なんかイメージと違うんだよな」みたいなことを平気で言います。それで「あなたがやるって言ったんじゃない!」となるわけです。

 

それよりも本気度をたしかめやすいのは(2)です。やりたい理由を聞いて、気持ちを理解してあげたら、「ちょっとゆっくり考えようね」と言って数週間放置します。それでも子どものやりたい気持ちが萎えておらず、むしろ「ねぇ、いつからやらせてくれるの?」とさらに意欲を高めているようなら、本気度は高いかもしれません。というわけで今回の正解は(2)。

 

ちなみに、習い事を始めるのも大変ですが、やめるのも大変。やめ方が悪いと、せっかく何年も続けた習い事が悪い印象で終わってしまいます。

 

習いごとをいい経験として終わらせるためには、「目標をクリアするまでは続ける」とか「ほかの習いごとを始めるなら1つは辞めよう」などと、「どうなったら辞めるのか」について事前に親子で話合っておくのがコツです。

 

習い始めてすぐ「やめたい」と言う場合は指導者との相性が合っていない可能性もあります。早めに辞める決断もありです。せっかく続けた習いごとを、飽きや逃避から「やめたい」と言い出したなら、やる気が復活するように親が応援しましょう。負担が大きく精神的につらそうな場合には、やめる決断も必要。辞めるときには「よくがんばったね。またやりたくなったらやればいいよ」と、いい思い出として締めくくりましょう。

 

※2023年3月23日のFMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容です。